セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 263:虫垂粘液嚢胞腺腫の1例 |
演者 | 北田 英貴(熊本赤十字病院 消化器科) |
共同演者 | 一二三 倫郎(熊本赤十字病院 消化器科), 川口 哲(熊本赤十字病院 消化器科), 竹熊 与志(熊本赤十字病院 消化器科), 樋口 大介(熊本赤十字病院 消化器科), 中橋 栄太(熊本赤十字病院 消化器科), 藤田 博(熊本赤十字病院 外科), 山根 隆明(熊本赤十字病院 外科), 福田 精二(熊本赤十字病院 病理) |
抄録 | 症例は、58歳、男性。主訴は下血。下血精査のため行った大腸内視鏡検査にて、虫垂開口部の粘膜下腫瘍様隆起性病変を認めた。注腸検査では、盲腸の内側下方に辺縁平滑な隆起性病変があり、上行結腸に憩室を認めた。腹部エコーCT検査にて、虫垂に一致して盲腸と連続するように腫大した低エコー腫瘤像を認め虫垂粘液嚢腫と診断した。手術所見は、虫垂は根部から虫垂中央付近にかけて腫大しており、虫垂中央部に2mmほどの壁欠損部があり、ゼリー状の栓を認め穿破が疑われた。悪性の可能性も考えてD2郭清を伴う回盲部切除が施行された。病理組織診断は、mucinous cystadenoma with severe atypiaであった。術後経過は順調であるが、腹膜偽粘液腫として再発する可能性があり、今後経過観察の予定である。虫垂粘液嚢腫は、病理学的には(1)simple mucocele,(2)mucinous cystadenoma,(3)mucinous cystadenocarcinomaに分類されるが、本症例では(2)であった。虫垂粘液嚢腫は、 虫垂切除時や剖検時に偶然発見される率が、0.07~0.52%とされており比較的稀な疾患といわれている。症状は、下血であったが原因は大腸憩室出血の可能性が高く、虫垂粘液嚢胞腺腫によると思われる症状はなかった。術前診断される例が最近増えてきており、本症例も術前診断が可能であった。治療は、粘液嚢腫の穿破により腹膜偽粘液腫を続発するため、早期の外科手術が必要である。術式は、リンパ節郭清を伴う右半結腸切除や回盲部切除が選択される症例から、虫垂切除のみの症例までさまざまな報告がみられる。本症例では、虫垂根部まで病変が及んでいたこと、虫垂切除後に本疾患を発症した例がみられることより、術式は回盲部切除で妥当であったと思われる。虫垂粘液嚢腫の穿破後に、腹膜偽粘液腫が続発することが知られており今後の経過観察が重要である。 |
索引用語 | 虫垂粘液嚢胞腺腫, 虫垂粘液嚢腫 |