セッション情報 |
パネルディスカッション5(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)
肝拠点病院網と肝診療均てん化の現状課題
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タイトル |
肝PD5-8:長野県における肝疾患診療ネットワーク、病診連携の現状と課題
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演者 |
吉澤 要(信州大・消化器内科DELIMITER国立信州上田医療センター・地域医療教育センター) |
共同演者 |
梅村 武司(信州大・消化器内科), 松本 晶博(信州大・消化器内科) |
抄録 |
【背景・目的】信州大学医学部附属病院が長野県の肝疾患診療連携拠点病院として2008年10月1日にスタートした。連絡協議会を設置し、拠点病院内には肝疾患診療相談センターを開設。専門医療機関として県内10医療圏に各1つ以上43施設選定し、かかりつけ医は登録制とし、現在88施設が参加している。2009年4月には県内共通の病診連携パスを発行した。昨年の肝臓学会東部会にて2年間の活動状況と問題点を発表した。その中で、各専門医療機関あるいは個々の専門医の活動に対する温度差が問題となり、今後の課題の一つとされた。このため、今回は、専門医療機関とくに地域中核病院の役割に重要性につき実践をもとに検証した。【活動内容】2010年10月より、U地域において中核医療機関と周辺医療機関の診療ネットワーク構築を目的とした活動を開始した。まず、患者会、保健所と連絡を密にとりながら勉強会を定期的に行うことを確認し実践している。また、同地域の医師会での講演、内科系医療機関を対象に、定期的な肝炎研究会を立ち上げ、病診連携による肝炎診療に対するアンケートを行った。その結果、連携への参加意欲は十分であったが、インターフェロンや核酸アナログ薬治療を積極的に受け入れる医療機関は少数(10%)で、専門医に任せるとの回答が圧倒的であった。主な理由は治療経験がないことであった。肝癌スクリーニングについても同様であった。このため、積極的にパスを活用し、日常管理はかかりつけ医でお願いすることを原則とした連携をアピールすることとした。これらの活動によって中核専門病院への肝疾患患者の紹介が増加し、良好な病診連携が築かれつつある。【今後の課題】地域の中核専門医療機関・専門医が積極的に、きめ細かく地域の行政、患者会や医師会に肝炎診療の病診連携を働きかけていくことが重要で、拠点病院は地域中核病院・専門医に対して病診連携の推進を後押しすることが今後の重要な課題である。 |
索引用語 |
病診連携, 連携パス |