共同演者 |
立山 雅邦(熊本地域医療センター 内科), 陣内 克紀(熊本地域医療センター 内科), 安達 善充(熊本地域医療センター 内科), 清住 雄昭(熊本地域医療センター 内科), 木庭 郁朗(熊本地域医療センター 内科), 明石 隆吉(熊本地域医療センター 内科), 相良 勝郎(熊本地域医療センター 内科), 鶴田 潤二(熊本地域医療センター 病理), 蔵野 良一(熊本地域医療センター 病理) |
抄録 |
【背景】Insulated-tip diathermic knife (IT knife)を用いた粘膜内胃腫瘍に対する内視鏡的胃粘膜切除術(EMR)は従来のEMR方法と比較し、一括切除率が向上し、胃癌治療ガイドライン上EMR適応とされていない20mm以上の病変に対しても切除可能との報告がされている。【目的】IT knifeを用いたEMRの根治度と適応について20mm以上の病変についても検討する。【対象】H.13.7からH.14.9までに当院でIT knifeを用いてEMR施行した53病変のうち、術前診断上適応のない6病変(未分化型腺癌1例、Ul-II以上4例、sm1 1例)を除く42症例47病変。【EMRの方法】SB法と同様に、病変周囲にマーキングし、エピネフリン、インジゴカルミン加生理食塩水を粘膜下に局所注射する。針状メス(Olympus KD-1L)を用いて、約3mmの切開を行い、IT knife (Olympus KD-610L)にて全周切開する。最後に、病変をスネアリングもしくはトリミングし、切除する。【結果】年齢: 中央値71歳(範囲47-83歳), 性: 男30/女13, 肉眼型: IIa 27 / IIc 20, 組織型: adenoma 18 / W/D 27 / pap 1 / M/D 1, 部位: U 5 / M 23 / L 19, LC 21 / GC 8 / AW 8 / PW 10, 病変の大きさ: 中央値 11mm(範囲4-60mm), 切除標本の大きさ: 中央値 32mm(範囲 17-70mm), 切除時間: 中央値45分(範囲 16-390分), SB法併用: 5/47(11%), 完遂率: 46/47(98%), 一括切除率: 40/47(85%, 5例は2分割切除), 病理学的完全切除率: 41/47(87%), EA率: 44/47(94%)。内20mm以上の病変は13病変で、切除時間: 中央値120分(範囲 39-390分), SB法併用: 3/13(23%), 完遂率: 13/13(100%), 一括切除率: 9/13(69%), 病理学的完全切除率: 10/13(77%), EA率: 12/13(92%)。【結語】IT knifeを用いる事によって安全域を含めた切除が可能となり、病理学的完全切除率87%で遺残の可能性は低く、EMRによる根治性を向上させる可能性が示唆され、20mm以上の病変に対しても病理学的完全切除率77%が得られ、適応拡大の可能性が示唆された。 |