セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 299:C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療中に意識消失発作を来した一例 |
演者 | 浦田 昌幸(水俣市立総合医療センター 消化器科) |
共同演者 | 尾上 公浩(水俣市立総合医療センター 消化器科), 大野 康寛(水俣市立総合医療センター 消化器科), 眞鍋 哲郎(水俣市立総合医療センター 消化器科), 山崎 邦雄(水俣市立総合医療センター 消化器科), 原田 孝弘(水俣市立総合医療センター 消化器科) |
抄録 | 症例は59歳男性。平成8年 大腸癌、胆嚢ポリープにて手術歴あり。その際C型慢性肝炎を指摘され、以後当院外科通院中であった。精神神経疾患、てんかんの既往はなし。 平成14年 5月 C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)治療目的にて当科紹介入院。入院時 GOT 46 IU/ml、GPT 70 IU/ml、HCV RNA 330 KIU/ml、セログループ1型であった。5/27 IFNα(アドバフェロンR)18MU 連日にて治療を開始した。開始後、悪寒、発熱、嘔気、食欲低下を認め、点滴等で対症的に加療した。検査データでは白血球、血小板の軽度の低下、トランスアミナーゼの軽度の上昇を認めるのみであった。6/11 2週連日投与終了の翌日、家人と外出した際、嘔吐、全身性の強直性痙攣を伴う意識消失発作が出現。救急車で帰院された。帰院時、軽い意識混濁を認めるものの、バイタルサインは著変を認めなかった。頭部CTを行ったが、明らかな異常を認めず、血液検査でも低血糖や電解質異常など、意識障害の原因となるような異常所見を指摘できなかった。帰院後、軽度の嘔気が続いたため、点滴にて加療したところ、次第に症状は消失した。IFNの副作用による意識消失発作を否定できず、以後のIFN治療は中止したところ、その後同様の発作は出現しなかった。発作3日後の脳波検査では、明らかなspikeは認めなかったが、広範に5-6Hzの徐波を認めた。発作14日後の脳波では、徐波は減少し、改善傾向を認めるものの、過呼吸負荷時に4-5Hzの高振幅徐波を認めた。 トランスアミナーゼは正常化し、発作の再出現も無かったため、6/27 退院となった。退院後も発作はなく、2か月後の脳波は正常化していた。脳の器質的異常や他の原因となる疾患を指摘できず、IFN中止後、徐々に脳波異常が改善したことより、IFNによる意識消失発作と考えられた。IFNの副作用として、不眠、うつ傾向などの精神神経症状が報告されているが、全身性痙攣を伴う意識消失発作の報告は稀であり、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | インターフェロン, 意識消失発作 |