セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 303:原発性胆汁性肝硬変(PBC)における2-oxo-acid dehydrogenase complexに対する抗体と組織学的進行度の関係 |
演者 | 増田 淳一(長崎大学医学部第2内科) |
共同演者 | 大曲 勝久(長崎大学医学部第2内科), 大場 一生(長崎大学医学部第2内科), 玻座真 博明(長崎大学医学部第2内科), 角川 淑子(長崎大学医学部第2内科), 木下 秀樹(長崎大学医学部第2内科), 林田 研司(長崎大学医学部第2内科), 林田 一洋(九州大学大学大学院 医学研究 病態修復内科学), 石橋 大海(国立病院長崎医療センター臨床研究部), 中沼 安二(金沢大学医学部第2病理), 河野 茂(長崎大学医学部第2内科) |
抄録 | 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)に特徴的な自己抗体は抗ミトコンドリア抗体(AMA)であり、AMAが認識するミトコンドリア内膜の呼吸関連酵素群(2-oxo-acid dehydrogenase complex)のなかで、その主対応抗原PDC- E2あるいはこれと免疫交差性を示す物質が、肝内小葉間胆管の上皮に異常発現していることが報告されている。しかし、AMAと組織学的進行度の関係は現在のところまだはっきりは証明されてない。今回我々はPBC患者血清を用いて、間接蛍光抗体法(IF法)、Enzyme inhibition assay(EIA法)、ELISA法、イムノブロット法(IB法)、にてAMAを測定し、それぞれの陽性率と組織学的進行度の関係を中心に検討した。【対象】肝生検にて確認されたPBC患者53人の血清を用いて検討した。女性47人、男性6人、年齢は29歳~78歳を対象とした。【方法】IF法はラット腎/胃凍結切片を基質に用いて測定し、20倍以上を陽性とした。EIA法はTRACE社よりキット化されたENZYMATIC MITOCHONDRIAL ANTIBODY(M2)REGANT を使用した。ELISA法はMBL社のMESACUP Mitochondria M2 kitを使用し、住金バイオサイエンスに測定を依頼した。IB法はウシ心筋ミトコンドリアを抗原に用い、1次抗体に対象血清、2次抗体としてHRP標識抗ヒトIgG、IgM、IgAを用いた。PBCの病期分類はScheuerの分類を用い、その程度により1期~4期に分類した。【結果】PBC患者53人中IF法、EIA法、ELISA法、IB法にて陽性だったのはそれぞれ47人(89%)、41人(77%)、35人(66%)、52人(98%)であった。IF法、EIA法、ELISA法では組織学的進行度との明かな関係は認められなかった。IB法に関して、IgAクラス抗PDC-E2抗体、抗E3BP抗体、IgGクラス抗OGDC-E2抗体陽性症例は胆管消失の出現率が高かった。IgAクラス抗PDC-E2抗体陽性者は組織学的進行度が高く、interface hepatitis、胆管増生を認めた。IgGクラス抗OGDC-E2抗体陽性症例は組織学的進行度が高く、interface hepatitisを認める傾向にあった。IgAクラス抗E3BP抗体陽性者は組織学的進行度と関係を認めた。【結語】IB法による2-oxo-acid dehydrogenase complexに対する抗体は、PBCの病因や組織学的進行度と関係があると考えられた。 |
索引用語 | 原発性胆汁性肝硬変(PBC), 組織学的進行度 |