セッション情報 一般演題

タイトル 14:

Rendu-Osler-Weber病の1例

演者 内藤 美紀(福岡大学筑紫病院 消化器科)
共同演者 和田 陽子(福岡大学筑紫病院 消化器科), 吉澤 直之(福岡大学筑紫病院 消化器科), 菊池 陽介(福岡大学筑紫病院 消化器科), 津田 純郎(福岡大学筑紫病院 消化器科), 八尾 建史(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科), 八尾 恒良(福岡大学筑紫病院 消化器科), 永江 隆(ナワタ消化器外科), 縄田 修(ナワタ消化器外科)
抄録 症例は50歳男性。主訴は貧血。既往歴に鼻出血があり、家族歴にも母親に貧血、長女に鼻出血の傾向がある。1997年頃から労作時息切れを自覚していたが放置していた。1999年に健診でHb 5.8g/dlと高度の貧血を指摘され、近医受診し、鉄剤投与でHb11.4g/dlと改善したため経過観察となっていた。それまで鼻出血の自覚は時にあったが、下血を自覚したことはなかった。2002年7月下旬にふらつきが出現。Hb 8.6g/dlと貧血の増悪を認めたため上部消化管内視鏡検査施行。胃から十二指腸にかけてびまん性に毛細血管の拡張が多発し、Diffuse antral vascular ectasia疑いにて当科紹介入院となった。入院時、貧血、低蛋白血症はなく、便潜血は陰性であった。当科入院後に施行した上部消化管内視鏡検査では胃噴門から幽門にかけて、広範囲に多数の斑状の毛細血管の拡張を認め、十二指腸にも数個の小斑点状の毛細血管の拡張を認めた。同時に行った拡大内視鏡においても上皮下に通常の毛細血管に比し、径の大きな血管が密に存在し、その周囲は毛細血管の血流減少と思われる褪色所見を認めた。上部内視鏡所見での毛細血管拡張の分布よりRendu-Osler-Weber 病を強く疑い、耳鼻咽喉科的検査を行ったところ、鼻粘膜、軟口蓋、喉頭粘膜、舌に毛細血管拡張が散見された。下部消化管内視鏡検査においてもS状結腸に数個の毛細血管の拡張を認めた。又、合併症検索のための胸部造影CT検査とMR angiographyを施行したところ、肺動静脈瘻に合致する所見を認めた。以上の所見よりRendu-Osler-Weber 病と診断した。上部消化管病変に対し、APC焼灼術を数回施行し、現在貧血は認められていない。Rendu-Osler-Weber病は遺伝性、皮膚、粘膜の毛細血管拡張症を有する稀な疾患であり、鼻出血、消化管出血等による貧血を契機に診断される場合が多い。今回、著明な貧血を来たし、内視鏡所見、鼻腔、口腔粘膜所見にてRendu-Osler-Weber病と診断しえた1例を経験した。
索引用語 Rendu-Osler-Weber病, 貧血