セッション情報 一般演題

タイトル 50:

自己免疫関連性膵炎の臨床像の検討

演者 樋口 大介(熊本赤十字病院 )
共同演者 竹熊  与志(熊本赤十字病院 ), 北田  英貴(熊本赤十字病院 ), 中橋 栄太(熊本赤十字病院 ), 川口 哲(熊本赤十字病院 ), 一二三 倫郎(熊本赤十字病院 ), 山根 隆明(外科), 横溝 博(外科), 西東 龍一(放射線科), 福田 精二 (病理)
抄録 【目的】自己免疫関連性膵炎の臨床的取り扱いに関しては、他の自己免疫疾患を合併しない症例があるため、最近出されたTIGAR-O 分類で見られるように、膵単独自己免疫性膵炎とシェ-グレン症候群などの自己免疫疾患に合併した症候性自己免疫性膵炎に分類すると理解しやすい。今回我々は自己免疫関連性膵炎と診断した6例(TIGAR-Oの分類に準じて分類すると、症候性自己免疫性膵炎4例、膵単独自己免疫性膵炎2例)の臨床像、画像診断、手術した2例の病理所見について検討したので報告する。【方法】平成5年11月より平成13年3月までにγglbあるいはIgGの上昇と膵腫大と膵管の狭細化あるいは病理像から6例の自己免疫関連性膵炎(症候性自己免疫性膵炎4例、膵単独自己免疫性膵炎2例)を経験した。その臨床像、画像診断、病理所見を検討した。【成績】症候性自己免疫性膵炎の4例中64才男性は検診で膵腫瘤を指摘され、精査にて膵癌(疑)で手術となった。一年後自己免疫機序によると思われる両側耳下腺腫脹が出現。64才女性は両側顎下部腫脹で耳鼻科を受診。Gaシンチで腹部集積を認め精査となりシェ-グレン症候群を合併した本症と診断され、3年後間質性腎炎をも発症した。49才女性は検診で膵腫瘍を指摘され、精査にて膵癌(疑)で外科手術となった。2年後両側顎下部腫脹出現。50才女性は上腹部背部痛で発症したがステロイド中止にて喘息が悪化したり全身関節痛が出現。症候性自己免疫性膵炎の4例中3例は現在もPSL内服中である。膵単独自己免疫性膵炎2例は全く無症状な74才男性と腹痛で発症しステロイドが著効し9ヶ月で漸減中止できた53才女性であった。【結論】症候性自己免疫性膵炎の4例は、経過中に他の自己免疫疾患を新たに合併して、その内3例はステロイドを中止できなかった。膵単独自己免疫性膵炎2例は無症状例とステロイド著効例であったが、まだ診断して間もない症例であり、今後経過中に症候性自己免疫性膵炎となっていく可能性があると考えられた。
索引用語 症候性自己免疫性膵炎, 膵単独自己免疫性膵炎