| セッション情報 | 一般演題 |
|---|---|
| タイトル | 71:二度の穿孔性腹膜炎にて開腹手術を施行された回腸悪性リンパ腫の一例 |
| 演者 | 山崎 琢士(産業医科大学 第三内科) |
| 共同演者 | 櫻井 康雅(産業医科大学 第三内科), 杉藤 素子(産業医科大学 第三内科), 久米 恵一郎(産業医科大学 第三内科), 成田 竜一(産業医科大学 第三内科), 阿部 慎太郎(産業医科大学 第三内科), 田原 章成(産業医科大学 第三内科), 大槻 眞(産業医科大学 第三内科), 芳川 一郎(産業医科大学 内視鏡部), 日暮 愛一郎(産業医科大学 第一外科), 永田 直幹(産業医科大学 第一外科), 伊藤 英明(産業医科大学 第一外科) |
| 抄録 | 症例は78歳男性。2000年11月に右下腹部痛と39.7℃の高熱を主訴に当科を初診した。右下腹部に圧痛と筋性防御を認め、腹部単純X線写真にて少量の遊離ガスを認めたため、急性虫垂炎穿孔が疑われ、当院第一外科にて開腹手術が施行された。手術所見では回盲弁より20cm口側の終末回腸に径9.0×5.5cmで小穿孔部を有する腫瘤を認め、回腸部分切除術が施行された。組織診断はnon Hodgkin lymphoma, diffuse large B cell typeであり、回腸悪性リンパ腫による穿孔性腹膜炎と診断された。術後の化学療法目的にて当科転科となり、THP-COPを2クール施行し、外来にて3クールの合計5クール終了した時点で嗄声と皮疹のためいったん治療を中断した。初診時に4640 U/mlと高値を示したsoluble IL-2Rは5クール終了時点で759 U/mlと低下を認め、腹部超音波検査にても大動脈周囲リンパ節腫大は消失したが、3ヶ月後の2001年7月末より右下腹部痛が出現し、soluble IL-2Rの再上昇 (2730.6 U/ml)を認めたため、リンパ腫の再発が疑われ、8月に当科第二回目の入院となった。入院時下腹部に軽度の圧痛を認めたが、腹部単純X線写真では異常を認めず、白血球増多や発熱も認めなかった。しかしながら入院翌日より嘔吐が出現し、X線上niveauを認めたため、腸閉塞が疑われ腹部CTを施行したところ、腹水と少量の遊離ガスを認め、下部消化管穿孔が疑われたため二度目の開腹手術となった。手術所見では吻合部盲腸側の回腸に潰瘍最深部に穿孔をきたした径5cmの腫瘤を認め、回盲部切除が施行された。組織診断は、初回穿孔時と同様の悪性リンパ腫であり、回腸悪性リンパ腫再発による穿孔性腹膜炎と診断された。小腸悪性リンパ腫は、臨床症状に乏しく診断も困難であるため、進行症例が多い。初発症状としては腹痛が最多で、次いで腫瘤触知、腸閉塞症状であるが、稀に穿孔を生じ、急性腹症として開腹手術が施行される。今回我々は、二度の穿孔性腹膜炎にて開腹手術が施行された回腸悪性リンパ腫の一例を経験したので報告する。 |
| 索引用語 | 回腸悪性リンパ腫, 穿孔性腹膜炎 |