セッション情報 一般演題

タイトル 250:

直腸穿通が原因と考えられた大腿部ガス壊疽の一例

演者 井上 龍二(串間市国民健康保険病院 内科)
共同演者 江藤 敏治(串間市国民健康保険病院 内科), 翁長 正明(串間市国民健康保険病院 内科), 黒木 和男(串間市国民健康保険病院 内科), 前村 誠(串間市国民健康保険病院 外科), 坪内 博仁(宮崎医科大学 第二内科)
抄録 症例は,81歳,男性.平成12年12月31日に気管支炎の診断にて入院した.入院前日に転倒し,左大腿部痛も入院時に認めていた.同部の疼痛が持続するため,平成13年1月4日に左大腿部のX線撮影を施行した.軟部組織にガス像を認め,理学所見と併せてガス壊疽と診断した.同日,当院外科にて左大腿筋膜切開術を施行し,排膿,ドレナージ術を行った.膿の培養では,真菌のみ検出された.術後,臀部を圧迫すると切開創から便汁様の排液を認めたため,ガストログラフィンによる注腸造影検査を施行した所,直腸後壁より造影剤の漏出を認めた.同所見より,直腸と左大腿部との瘻孔形成が疑われ,経肛門的にイレウスチューブを挿入し,便汁の創部への流失防止を試みた.広域スペクトラム抗生剤も併用し,創部からの排膿は減少傾向にあった.全身状態も徐々に改善し、切開創は完全には閉鎖していなかったが,同年3月30日に退院となった.治療として,経肛門的イレウスチューブ挿入術の併用が有用であったと考えられた.呼吸状態をはじめとして全身状態が不良なため,直腸内腔や骨盤腔の精査は不十分であった.直腸穿通(穿孔)がおこり,瘻孔を形成した結果,大腿部ガス壊疽が発生した可能性も考えられた.穿通や炎症の波及などの機序についての考察は不十分であるが,興味深い症例と考えられたため報告する.
索引用語 直腸穿通, ガス壊疽