セッション情報 一般演題

タイトル 107:

中国産やせ薬(せん之素こう嚢)による薬剤性肝障害に対し、ステロイド内服が有効であった一例。

演者 上田 哲弘(麻生飯塚病院 肝臓内科)
共同演者 山下 晋作(麻生飯塚病院 肝臓内科), 巻幡 徹二(麻生飯塚病院 肝臓内科), 本村 健太(麻生飯塚病院 肝臓内科), 小柳 年正(麻生飯塚病院 肝臓内科), 坂本 茂(麻生飯塚病院 肝臓内科)
抄録 症例は54歳女性。2001年9月、感冒にて近医受診し採血施行するも肝障害は指摘さていない。2002年5月20日頃より、友人より中国旅行の土産としてもらった中国産やせ薬(せん之素こう嚢)内服開始。5月30日頃、心窩部不快感出現したため内服中止。その後も心窩部不快感持続し、徐々に食欲低下。発熱、発疹等なし。食欲不振続くため、6月12日近医受診。採血にてTB 3.4, AST 1391, ALT 2493と肝障害認めた。翌6月13日再度採血施行し、TB 4.1, AST 1192, ALT 2567と肝障害増悪認め、入院勧められるも拒否。6月15日、食欲不振増悪するため当科紹介となり、肝障害精査加療目的に入院となった。入院時WBC 4290(Eosino 3.0%), T.Bil 6.7(DB:4.6), AST 1591, ALT 2960, PT 94.1%, IgE 2854.2U/ml。<薬物と肝研究会>による薬剤性肝障害の判定基準案(1978) は満たさないが、B,C型肝炎ウイルス陰性、HAV,EBV,CMVは既往感染、抗核抗体陰性、抗ミトコンドリア抗体陰性、TSH正常で他に肝障害の原因認めず、臨床経過からせん之素こう嚢内服による薬剤性肝障害を強く疑った。薬剤内服既に中止しており、肝合成能低下認めなかったため、SNMC40ml/day ivのみでfollow開始しtransaminase低下傾向認めた。6月24日、TB 15.1, AST 1090, ALT 1518, PT 76.9%と黄疸著明増悪、transaminaseの改善遷延傾向で凝固能低下認めたため、SNMC100ml/dayに増量し、ウルソ(100)3T 3×を追加した。6月28日 TB 20.8, AST 991, ALT 1099, PT66.7%と黄疸増悪、経口摂取低下し凝固能低下も認めた。好酸球増多認めなかったが、IgEの著明上昇認め、アレルギー性の機序が考えられたため、6月29日よりPSL30mg/day内服開始した。7月1日、TB 17.3, AST 452, ALT 709, PT 81.0%と黄疸,transaminase,凝固能の改善、経口摂取も改善した。PSL30mgで1週間継続後、3日毎にPSL5mgずつ減量した。IgE 644.0とアレルギー反応の改善も認めた。ステロイド漸減するも肝障害再然ないため、7月12日よりPSL15mg/dayとし退院、7月22日PSL中止。その後肝障害再燃を認めなかった。最近、中国産やせ薬による肝障害が問題となっているが、ステロイド内服が有効であったと考えられる症例を経験したため、報告する。
索引用語 薬剤性肝障害, 中国産やせ薬