セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
136:ステント留置により、腸閉塞症状が改善した回盲部癌の1例
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演者 |
田中 英明(医療法人財団) |
共同演者 |
岡田 光男(医療法人財団), 林 隆一(医療法人財団) |
抄録 |
ステント留置により、腸閉塞症状が改善した回盲部癌の1例医療法人財団 博愛会 博愛会病院 内科 田中 英明、林 隆一、岡田 光男高齢者における癌治療においては、全身状態の低下や、痴呆症状などの合併症のため根治手術ができない症例も少なくない。ただし、無加療のままでは患者QOLは損なわれ、苦痛を伴うケースもある。今回、回盲部癌により亜腸閉塞を来した痴呆患者に対し、食道用メタリックステントを留置し腸閉塞症状が改善した症例を経験したので報告する。症例は87歳、男性。脳梗塞後遺症による痴呆があり、4年前から寝たきり状態である。入院1週間前から、腹部膨満感、食思不振、嘔気、腹痛出現。入院時身体所見では腹部膨隆、右下腹部に圧痛あり。腹部単純X線検査で小腸の広範なガス像を認めたが、ニボー像はなかった。腹部超音波検査では多量の腹水と、回腸末端までの小腸拡張像とto and fro像を認めた。以上より回盲部の腫瘍性病変が疑われたため、注腸X線造影施行し。回盲部に約5cmの腫瘍を認めた。87歳の高齢で痴呆がある事、貧血、低アルブミン血症がある事、約3lの腹水がある事より根治手術は不可能と判断し、ステント留置を行なった。大腸内視鏡検査では、回盲弁に全周性の腫瘍を認め、スコープは狭窄のため挿入できなかった。透視下にガイドワイヤーを回腸側に挿入し、食道用Ultra Flex 10cmのDistal typeを留置した。ステント留置翌日より食事開始したが、腹痛、嘔気、腹部膨満感なく食事全量摂取可能となり1週間後に退院した。その後1ヶ月は経口摂取可能であったが、食欲不振のため再入院し10日目に永眠した。手術不能な腸閉塞症状を呈する回盲部癌に対してメタリックステントを留置しQOLの改善を見た症例を報告した。我々の知る限りこのような報告はなく、今後、高齢者の回盲部癌に対して試みる価値のある治療方法と思われた。 |
索引用語 |
ステント留置, 回盲部癌 |