| セッション情報 | 一般演題 |
|---|---|
| タイトル | 63:胃癌に対するTS-1化学療法施行中、bowel cast排出をきたした一例 |
| 演者 | 伊集 守知(九州大学 大学院 病態制御内科学(第三内科)) |
| 共同演者 | 佐々木 達(九州大学 大学院 病態制御内科学(第三内科)), 貞元 洋二郎(九州大学 大学院 病態制御内科学(第三内科)), 吉村 理江(九州大学 大学院 病態制御内科学(第三内科)), 本田 邦臣(九州大学 大学院 病態制御内科学(第三内科)), 高橋 誠(九州大学 大学院 病態制御内科学(第三内科)), 中村 和彦(九州大学 大学院 病態制御内科学(第三内科)), 原田 直彦(九州大学 大学院 病態制御内科学(第三内科)), 名和田 新(九州大学 大学院 病態制御内科学(第三内科)), 永井 英司(九州大学 大学院 臨床・腫瘍外科学), 田中 雅夫(九州大学 大学院 臨床・腫瘍外科学), 高田 三由紀(九州大学 大学院 形態機能病理学), 八尾 隆史(九州大学 大学院 形態機能病理学) |
| 抄録 | 症例は76才、女性。主訴:下痢。既往歴:30才時、虫垂切除術。74才時、卵巣癌に対し手術、化学療法。現病歴:平成14年2月、貧血を指摘。進行胃癌(Stage IIIa)と診断され、4月26日より術前化学療法としてTS-1 100mg/day内服開始。5月10日頃より、食欲不振、倦怠感が出現。5月14日当科再診時、口唇周囲色素沈着と著明な口腔内アフタを認めたため同日よりTS-1中止。5月17日、口腔の痛み、下痢のため経口摂取困難となり当科入院となった。入院時、体温38.3度、入院時検査上、白血球数減少(430/μl)、CRP高値(3.40mg/dl)を認めた。TS-1による骨髄抑制及び感染性腸炎を疑いG-CSF、抗生物質投与による加療開始。5月21日、白色紐状排泄物を認め、腸管虚血性変化に伴う梗塞組織の剥脱、いわゆるbowel castと考えられた。絶食、中心静脈栄養により全身状態は改善した。6月12日小腸X線検査にて、回腸に約10cmにわたる区域性のなだらかな内腔狭小化を認め、同部の粘膜は粗造であった。7月19日、胃全摘術および回腸部分切除術を施行。胃癌はUl-IVの瘢痕を伴う深達度mpの低分化型腺癌で、回腸には絨毛構造の歪形や粘膜筋板の軽度肥厚といった潰瘍の修復を思わせる変化を認めた。本症例では小腸虚血性変化によりbowel cast排出および狭窄を来たしたと思われ、その原因については明らかではないが、TS-1による薬剤性、脱水や血管性病変による循環障害等が疑われる。TS-1による薬剤性消化管障害の報告は少なく、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
| 索引用語 | bowel cast, TS-1 |