セッション情報 一般演題

タイトル 238:

胆管癌のリンパ管侵襲により十二指腸に特異な内視鏡所見を呈した一例

演者 吉村 理江(九州大学 光学医療診療部)
共同演者 富永 佐和子(同病態制御内科学), 佐々木 達(同病態制御内科学), 高橋 誠(同病態制御内科学), 本田 邦臣(同病態制御内科学), 貞元 洋二郎(同病態制御内科学), 中村 和彦(同病態制御内科学), 河辺 顕(同病態制御内科学), 有田 好之(同病態制御内科学), 伊藤 鉄英(同病態制御内科学), 原田 直彦(同病態制御内科学), 名和田 新(同病態制御内科学), 平橋 美奈子(同形態機能病理学), 八尾 隆史(同形態機能病理学), 岩尾 真孝(国立療養所福岡東病院)
抄録 症例は73歳,男性.主訴は皮膚掻痒感.家族歴は父に高血圧,弟に糖尿病.生活歴は特記すべきことなし.既往歴は60歳時に気管支喘息,64歳時に左中耳真珠腫にて手術.現病歴は2002年8月に肺炎,気管支喘息の診断にて前医入院.入院時に黄疸,肝機能障害を指摘された.腹部CTにて総胆管中部閉塞,肝内胆管拡張を認め,ERCPにて総胆管内の欠損像および主膵管の不整狭窄を認めたため,同年9月精査加療目的に当科紹介入院.入院時現症では眼球結膜に黄疸を認め,左下腹部に軽度圧痛を認める他は,異常は認められなかった.検査所見では白血球増多,軽度貧血,低蛋白血症,及び総ビリルビン,AST,ALT,LDH,ALP,γGTP,リパーゼ,CEA,CA19-9の高値を認めた.画像所見では腹部CTにて総胆管内に腫瘤を認め,下流の胆管壁は肥厚し,胆管壁に沿って浸潤した総胆管癌と考えられ,左副腎,リンパ節,腸間膜に転移が認められた.ERCPでは総胆管内に欠損を認め,主膵管の狭窄を認めた.総胆管ブラッシング細胞診にてClass V, adenocarcinomaを認め,総胆管癌と診断した.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部から下行脚にかけてなだらかな立ち上がりで大小不同の扁平隆起性病変が散在し,隆起表面に多数の白斑を伴っていた.同部の生検にて多量の癌細胞がリンパ管内を占拠していた.胆管癌のリンパ管侵襲に伴う特異な内視鏡所見と考えられたため,文献的考察を加え報告する.
索引用語 胆管癌, 十二指腸