セッション情報 パネルディスカッション5(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)

肝拠点病院網と肝診療均てん化の現状課題

タイトル 肝PD5-11:

C型肝炎治療における病診連携パスがもたらす効果

演者 尹 聖哲(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科)
共同演者 中田 邦也(中田医院), 北嶋 直人(市立加西病院・内科)
抄録 【目的】肝炎治療を取り巻く環境整備が進んでいる中、とくにC型肝炎のIFN療法においては副作用を伴う長期治療が必要となるため、病診連携の重要性が高まり、兵庫県東播磨圏域では医師会と専門病院が共同してC型肝炎IFN療法の病診連携パスを作成した。2009年7月から当院にて運用開始し成果が得られたので報告する。【方法】循環型連携パスとし、非専門領域の医師でも使用できる分かりやすいパスを作成した。すなわち、1)スムーズな紹介と導入後の連携のため簡便な専用紹介状・治療依頼状、2)役割分担を明確化する運用要綱、3)見落としや検査の重複・脱落を避け、医療側も患者側も安心して医療を継続するための連携パスシート、4)患者、かかりつけ医、専門病院の3者の情報共有のための患者手帳、を作成した。患者手帳は携帯性を重視してポケット版とし、検査値、IFNの副作用の程度を自己記入してもらった。【成績】当院において2004年1月より2010年12月までにIFNを導入した症例は340例。IFN導入例は2008年35例、2009年60例、2010年83例と連携パス運用後で明らかに増加した。かかりつけ医でのIFN投与率は、運用前では7.8%(18/231)、運用後では45.0%(49/109)と大幅に増加した。治療中止率は、運用前では10.3%(22/214)、運用後では8.1%(3/37)と若干低下した。治療中止例も含めた全症例の完全著効率は、低ウィルス例で運用前92%(23/25)、運用後100%(6/6)、高ウィルス例で運用前68%(110/192)、運用後72%(18/25)と若干向上した。【考案】IFN導入症例数が増加したのは、連携パスのメリットがかかりつけ医、患者に受け入れられ、紹介患者、IFN治療を希望する患者が増加したためと思われる。また若干ではあるがIFN中止例が減少し、完全著効率が向上したのは、複数主治医制により患者の細やかなケアーが可能となったためと思われる。【結論】C型肝炎IFN連携パスを運用することによって病診連携が促進され、IFN導入症例の増加、治療完遂率、完全著効率の向上が期待される。
索引用語 C型肝炎, 病診連携パス