セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 201:化学療法が奏効し切除し得た悪性末梢神経鞘腫瘍の膵転移 |
演者 | 澄井 俊彦(国立病院九州がんセンター 消化器内科) |
共同演者 | 松尾 享(国立病院九州がんセンター 消化器内科), 荒武 良総(国立病院九州がんセンター 消化器内科), 畠中 文香(国立病院九州がんセンター 消化器内科), 内村 浩太郎(国立病院九州がんセンター 消化器内科), 横田 昌樹(国立病院九州がんセンター 消化器内科), 井口 東郎(国立病院九州がんセンター 消化器内科), 船越 顕博(国立病院九州がんセンター 消化器内科), 池田 泰治(国立病院九州がんセンター 消化器外科), 岡村 健(国立病院九州がんセンター 消化器外科) |
抄録 | 骨・軟部組織の膵臓への転移は稀である。今回、我々は悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)の膵転移腫瘍に対し、ユーイング腫瘍の治療に用いられるIfosfamide(IFM)、Vincristin(V)、Adriamycin(A)、Cyclophosphamide(C)による化学療法を行い、著明な腫瘍縮小効果を認め、その後摘出手術が可能になった症例を経験したので報告する。症例は31才、男性。1999年春に右大腿後面に大豆大の腫瘍を自覚。徐々に増大し径10cmとなり、同年11月前医にて腫瘍摘出術を受けた。病理所見にてMPNSTの診断であった。2001年11月より全身倦怠感、2002年1月には腹部膨満感が出現。3月に近医で腹部超音波、CTを施行され、膵頭部の腫瘍を指摘され、4月8日当院初診。4月12日入院となる。入院時には、眼瞼に軽度に貧血、黄疸を認め、右上腹部に径8cmの可動性を有し圧通を伴う腫瘤を触知した。表在リンパ節はしなかった。右大腿後面に手術瘢痕を認めた。検査所見では末梢血検査で軽度の貧血と血液生化学検査で総ビリルビン3.9mg/dl、直接ビリルビン2.9mg/dl、AST 133 U/L、ALT 267 U/L、LDH 589 U/L、 ALP 642 U/Lと閉塞性黄疸の所見であった。CT所見は膵頭部に9×9×11cmの辺縁不整で内部に壊死と思われる広範囲な低吸収域を持つ腫瘤を認めた。総胆管は圧排され、胆のう、胆道系の拡張を認めた。4月25日にPTCDを施行し減黄を確認後、5月から8月にかけて IFMの大量投与に引き続き、CAVを投与するIFM-CAV療法を施行した。骨髄抑制に対し、MAP、G-CSFを必要に応じ投与した。腫瘍は徐々に縮小し8月末にはCTで3×2.8×2cmとなった。9月4日に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理所見でもMPNSTの転移と確定診断できた。以上、MPNSTの膵転移腫瘍に対し、化学療法にて著明な腫瘍縮小効果が得られ、手術可能となった症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 転移性膵腫瘍, 悪性末梢神経鞘腫瘍 |