セッション情報 |
シンポジウム1
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タイトル |
S1-009:肝細胞癌に対する肝静脈バルーン閉塞下肝動脈塞栓術の検討
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演者 |
東原 秀行(福岡大学 医学部 放射線科) |
共同演者 |
岡崎 正敏(福岡大学 医学部 放射線科), 木村 史郎(福岡大学 医学部 放射線科), 山本 良太郎(福岡大学 医学部 放射線科), 品川 喜紳(福岡大学 医学部 放射線科), 浦川 博史(福岡大学 医学部 放射線科) |
抄録 |
【目的】比較的小型の肝細胞癌 (HCC) に対し、門脈をも塞栓し得ると思われる肝静脈バルーン閉塞下肝動脈塞栓術 (NDS-TAE) を考案し臨床応用してきた。治療成績および問題点について検討した。【対象】92年8月から02年8月までにNDS-TAEを施行したHCC93症例105結節、男69例、女24例、平均年齢66.6歳。原則として亜区域に限局し、血管造影で濃染するものを対象とした。【方法】バルーンカテーテルで担癌区域の肝静脈閉塞下に担癌亜区域動脈枝からリピオドール併用TA Eを行う。局所無再発率、累積生存率、NDS-TAE前後の肝機能変化を検討した。また再発症例には再度TACEを施行した。【結果】腫瘍径は1~8cm平均3.4cmであった。HCCの存在部位は、S8 29例、S7 11例、S6 24例、S5 8例、S4 9例、S3 7例、S2 5例で、単結節80例、多結節10例、塊状型3例であった。Child分類は、class A 57例、B 33例、C3例であった。93例中、NDS-TAE後肝切除術がなされた7例を除く86例で、CTで担癌亜区域の萎縮を48例に認めた。再発はNDS-TAEを行った担癌同一亜区域内が86例中34例、同一亜区域内でも初回の治療対象HCC の再増殖 (局所再発) を15例に認めた。他区域再発は肝切除例を含めた93例中46例で、うち14例は同一亜区域内にも再発を認めた。局所の累積無再発率は1年91.7%、3年80.1%、5年80.1%、9年80.1%であった。NDS-TACE後、1カ月以内死亡(術死)はなかった。肝切除例を除く86例の累積生存率は1年98.8%、3年84.8%、5年70.3%、9年23.9%であった。重篤な合併症は経験していないが、通常のsegmental TAEと比較してAST,ALTの上昇(約4.7倍)があり、担癌亜区域非癌部肝組織への影響を表していると考えられる。これは約一週間で全例回復した。NDS-TAEの目標は亜区域の腫瘍および非癌部肝組織もろともの梗塞であるが、担癌亜区域の肝静脈の同定困難例や複数の肝静脈が関与する症例も存在し、angio CTでの責任肝静脈の評価、全肝静脈を閉塞する方法や新しい塞栓物質の開発が待たれる。【結語】比較的小型のHCCに対するNDS-TAEは従来のTAEに比し、より強力に門脈枝も化学塞栓可能で、肝切除術、PEIT、RFに劣らない治療法と考える。 |
索引用語 |
肝細胞癌, 肝動脈塞栓術 |