セッション情報 |
ワークショップ1
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タイトル |
W-009:当科における腹腔鏡補助下幽門側胃切除(LADG)の成績と展望についての検討
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演者 |
北島 吉彦(佐賀医科大学 一般・消化器外科) |
共同演者 |
濱本 隆浩(佐賀医科大学 一般・消化器外科), 佐藤 清治(佐賀医科大学 一般・消化器外科), 中房 祐司(佐賀医科大学 一般・消化器外科), 宮崎 耕治(佐賀医科大学 一般・消化器外科) |
抄録 |
【目的】早期胃癌に対する縮小治療の適応が、2001年胃癌治療ガイドラインにより決定された。この中で腹腔鏡下縮小手術は臨床研究として位置づけられいるため、その適応は施設によりいまだ様々である。我々の教室では、腹腔鏡補助下幽門側胃切除(LADG)を術前リンパ節転移(-)と評価された早期胃癌を適応に定め、これまで1999年5月より22症例に施行してきた。今回、当科におけるLADGの実際および成績をもとに本術式の適応と展望について解析・検討したので報告する。【結果】22例中2例はEMR後再発例およびEMR後の病理深達度にてsm2と診断された症例であった。手術は5cmの小開腹併施で行い、リンパ節郭清はD1α~D2を行った。郭清リンパ節個数平均25.2ヶであり、術後病理にて1例にのみリンパ節転移(n1)を認めた。肥満指数の高い症例に手技的困難、開腹移行症例が多い傾向がみられた。術後経過は、歩行1.7日、排ガス2.9日、術後在院日数16.3日と低侵襲性でかつ根治性を損なわない成績であった。【考察】胃癌治療ガイドラインによると、EMRは(1)一括切除可能な2.0cm以下のM癌、(2)分化型腺癌、(3)UL(-)が絶対的適応とされている。最近、EMRの適応拡大も論じられているが、リンパ節転移が疑われる症例はEMRの適応とならないことに異論はない。我々は、早期胃癌手術症例406例の臨床病理学的解析を行い、深達度sm2 or ly (+)であった場合、有意にリンパ節転移率が高いことを明らかにしている。従って、EMR後断端陰性であってもsm2 or ly (+)であればリンパ節転移陽性の可能性が危惧され、胃切除+リンパ節郭清を行うべきである。我々は、今後もLADGの経験をさらに重ねていけば、手術時間の短縮、リンパ節郭清の確実性向上が可能となると考えている。LADGが、EMRとともに早期胃癌に対する縮小治療の中核的位置づけとして相互発展していくことが期待された。 |
索引用語 |
LADG, 縮小手術 |