セッション情報 一般演題

タイトル 2:

出血性胃潰瘍の加療中に二重幽門輪を形成するまでの経過を追えた一例

演者 米湊 健(社会保険田川病院内科)
共同演者 前川 隆一郎(社会保険田川病院内科), 宮島 一郎(社会保険田川病院内科), 中山 雅文(社会保険田川病院内科), 宗 篤史(社会保険田川病院内科), 弥永  円(社会保険田川病院内科), 佐田 通夫(久留米大学病院第2内科), 豊永 純(久留米大学病院第2内科), 岩永 真一(社会保険田川病院内科), 白土 睦人(社会保険田川病院内科), 植山 敏彦(社会保険田川病院放射線科)
抄録 出血性胃潰瘍の加療中に二重幽門輪を形成するまでの経過をおえた一例社会保険田川病院内科:米湊健、岩永真一、白土睦人、弥永円、宗篤史、宮島一郎、中山雅史、前川隆一郎、同放射線科:植山敏彦、久留米大学第2内科:佐田通夫、豊永純症例は60才、男性。主訴は吐血。脳梗塞後遺症にて当院脳外科で外来通院加療中(バファリン81mg錠を1T1×内服中)であった。平成13年9月6日コーヒー残さ様嘔吐を認め当科受診された。緊急上部消化管内視鏡検査で多発性の胃潰瘍を認めたため、精査加療目的で入院とした。絶食・輸液・PPI投与で加療開始した。経過観察の上部消化管内視鏡検査では、前庭部小わんの潰瘍は深く穿通しておりろう孔を形成していた。経過中ろう孔は閉鎖せず二重幽門輪を呈しており、現在に至るまで開存している。二重幽門輪は胃~十二指腸球部へのろう孔形成によって、胃と十二指腸球部が通常の幽門輪以外にこのろう孔を通じてもつながる状態であり、ろう孔と幽門輪の間は胃粘膜によって形成される隔壁により隔てられる。二重幽門輪は通常潰瘍の合併症であるが、先天奇形の報告もある。最近では基本的にはNSAIDsやアスピリン、ステロイド使用に伴う治癒不全によるものであり、二重幽門輪はいわゆるNSAIDs潰瘍の重症例そのものである可能性を示唆するとの報告もある。今回我々は、出血性胃潰瘍を発症し、二重幽門輪を呈するまでの経過をおえた一例を経験したので文献的考察も含め報告する。
索引用語 二重幽門輪, double pylorus