セッション情報 一般演題

タイトル 249:

十二指腸水平部の狭窄で発症し,血清CEA,CA19-9が高値であった尿管癌の一剖検例

演者 安倍 弘生(宮崎県立延岡病院 内科)
共同演者 永田 賢治(宮崎県立延岡病院 内科), 上村 修司(宮崎県立延岡病院 内科), 後藤 敏之  (宮崎県立延岡病院 内科), 湯池 宏明(宮崎県立延岡病院 内科), 山下 清(宮崎県立延岡病院 内科), 児玉 英昭(宮崎県立延岡病院 内科), 石原 明(宮崎県立延岡病院 病理), 坪内 博仁(宮崎医科大学第二内科)
抄録 症例は69歳,男性.2002年3月上腹部痛が出現し,近医を受診.胃透視で胃拡張及び十二指腸水平部の通過障害を認めた.精査のため4月6日前医に紹介入院.入院時のCTにて左水腎水尿管症,左腎結石を認めたが,十二指腸水平部および肝胆膵には明らかな異常を認めず,上部消化管内視鏡では下行脚の拡張不良を認めた.また,ERCPを施行したが膵管,胆管の異常は認めなかった.4月末より黄疸出現し,腎機能障害を認め,5月2日当科に転院した.腹部超音波検査上膵頭部に腫瘤性病変を認め,血清CEA 130ng/ml,CA19-9 3,071U/mlより膵癌が疑ったが,転院時ショック状態であり治療抵抗性で5月4日死亡した.剖検の結果,膵頭部から腸間膜根部にかけて十二指腸,空腸,肝門部を巻き込む手拳大腫瘤を認めた.光顕的には低分化癌の結合組織を伴うびまん性浸潤増殖がみられたが,膵実質内には腫瘍はみられなかった.膵管は異常なかったが,総胆管は腫瘍による圧迫で閉塞し,肝内胆管は拡張していた.左腎,左尿管は前医で指摘された通り水腎水尿管症となっており,左尿管は最下部で約7cmにわたって完全閉塞しており同部の組織像は尿管壁外まで浸潤する低分化移行上皮癌であり膵周囲にみられた腫瘍と一致し,免疫染色でCEAが陽性であった.以上から左尿管癌が原発巣であり,骨盤腔から後腹膜へのリンパ行性伸展により膵周囲にいたり,リンパ節,周囲結合組織内増殖による閉塞性黄疸と十二指腸拡張障害を来したものと考えられた.以上CEA,CA19-9高値を来たし,膵周囲にリンパ行性に浸潤したと考えられる興味ある経過を示した尿管移行上皮癌の症例を経験したので報告する. 
索引用語 尿管移行上皮癌, CA19-9