セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 132:胸水、腹水を伴った重症偽膜性腸炎の一例 |
演者 | 雨森 貞浩(佐賀医科大学 内科) |
共同演者 | 吉川 敦(佐賀医科大学 内科), 藤瀬 剛弘(佐賀医科大学 内科), 大谷 響(佐賀医科大学 内科), 小田 佳代子(佐賀医科大学 内科), 中原 伸(佐賀医科大学 内科), 綱田 誠司(佐賀医科大学 内科), 坂田 祐之(佐賀医科大学 内科), 岩切 龍一(佐賀医科大学 内科), 藤本 一眞(佐賀医科大学 内科) |
抄録 | 症例は31歳女性。平成13年11月より当院婦人科入院。子宮頚癌に対して放射線治療、化学療法後子宮全摘手術を施行。その際挿入したdouble J stentにて尿路感染症引き起こし、cefotiam(CTM)を使用。その後も尿路感染症を繰り返したことから imipenem/cilastatin(IPM/CS),gentamycin(GM),cefpirome(CPR),clindamycin(CLDM)等を長期間使用していた。同時期より腹痛・下痢が出現、持続していたが、平成14年6月退院となり、以後内服薬にて経過観察していた。しかし症状増悪傾向にあったことから、当院内科入院となった。 入院後の大腸内視鏡所見にて直腸からS状結腸にかけ粘膜に黄白色の偽膜が全周性に付着しており、全体的に浮腫状で偽膜性腸炎の内視鏡像を示していた。直腸粘膜病変部の組織診では好中球を主体とする炎症細胞および浸出物で構成される偽膜を認めた。また腹部CT所見では結腸、直腸全体にかけて壁が著明に肥厚し浮腫性変化を呈しており腹水及び左胸水も認められた。 C. difficile毒素は陰性であったものの、抗生剤使用歴、大腸内視鏡所見および腹部CT所見より重症偽膜性腸炎と診断。痛みの程度より内服不可であった事からvancomycin(VCM)(2g/日)点滴および絶食、安静、輸液とした。その後炎症反応、自覚症状の改善を認めた。フォローの大腸内視鏡にても偽膜の消失を認め、CT上も胸水および腹水の消失を認めたことから近医へ転院、以降再発は認めていない。 今回我々は胸水、腹水を伴った全大腸に及ぶ偽膜性腸炎を経験し、貴重な症例と考えたため、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 偽膜性腸炎, 腹水 |