セッション情報 一般演題

タイトル 182:

若年女性に発症した食道潰瘍の一例

演者 松延 亜紀(佐賀医科大学 内科)
共同演者 吉川 敦(佐賀医科大学 内科), 藤瀬 剛弘(佐賀医科大学 内科), 大谷 響(佐賀医科大学 内科), 小田 佳代子(佐賀医科大学 内科), 中原 伸(佐賀医科大学 内科), 綱田 誠司(佐賀医科大学 内科), 坂田 祐之(佐賀医科大学 内科), 岩切 龍一(佐賀医科大学 内科), 藤本 一眞(佐賀医科大学 内科)
抄録 今回我々は若年女性に発症した、上部食道に限局する食道潰瘍の一例を経験したので報告する。
症例は16歳女性。特記すべき既往歴、基礎疾患なし。症状発生前日より、う歯の痛みに対し鎮痛剤(Loxoprofen 60mg)を処方されており、毎食後と眠前に計5回頓用していた。夜間に突然呼吸困難感、咽頭閉塞感、咽頭痛を感じ、当院救急外来を受診。症状は自然消失したため帰宅した。しかし翌日にも前胸部痛、呼吸困難感、嚥下痛あり、食事摂取できないほどの疼痛のため近医を受診。38.7℃の発熱およびWBC11700/μlと上昇しており、上気道炎を疑われ、抗生剤を投与されていた。しかし症状改善なく、再度当院救急外来を紹介され受診。心電図、心エコー、胸部CTにても異常所見なく、当科紹介。緊急内視鏡を施行したところ、門歯より19cm~25cm上中部食道に大小不同、大きいものでは2/3周におよぶ浅い多発食道潰瘍を認め、当科入院となった。血液検査上WBC8200/μl、CRP9.32と炎症所見を認めた。入院後絶食、補液、およびヘルペス食道炎を疑いゾビラックス点滴静注開始。翌日より次第に症状改善した。食道造影を行ったが潰瘍はすでに治癒傾向にあり、線状の瘢痕を認めるのみであった。6日後のフォローの内視鏡では門歯より17cm、22~23cm後壁から右側壁、25cmの部位に瘢痕を認めるのみにまで改善していた。
食道炎の原因として、胃食道逆流症の他、NSAIDsによる直接的・間接的障害、ウイルス感染などが一般的に知られている。本症例に関して、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 食道, 潰瘍