セッション情報 一般演題

タイトル 295:

ラミブジンとステロイド薬の併用療法により良好な経過を呈したHBVgenotype A のB型急性肝炎の一例

演者 古澤 千枝(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター)
共同演者 長岡 進矢(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 田浦 直太(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 矢野 公士(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 植木 俊仁(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 松本 武浩(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 大黒 学(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 八橋 弘(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 古賀 満明(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 石橋 大海(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 矢野 右人(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター)
抄録 症例は28歳男性。2001年7月初旬より発熱、倦怠感出現。7月16日当科入院。入院時検査でAST 1036 IU/l, ALT 1506 IU/l、TB 1.1mg/dl、HBsAg(+), IgM-HBc抗体(+), HBV-DNA 8.5LGE/mlとトランスアミナーゼ上昇とHBVマーカー陽性を認め、B型急性肝炎と診断した。入院後、安静と保存的治療のみで一時的に自覚症状の改善をみたが、持続する肝機能障害と黄疸の上昇により、再び悪心、食欲不振、倦怠感などの自覚症状の増悪を認めた。7月26日にはAST 1239 IU/l, ALT 2051 IU/l、8月8日にはAST 1605 IU/l, ALT 1528 IU/l , TB 25mg/dl, DB 18mg/dl , PT 59%(入院時85%)と黄疸の増強とPT低下を認めた。重症肝炎への移行を危惧し、同日よりラミブジン100mgの内服を開始した。その後も自覚症状および黄疸の増悪が認められたため、8月10日からはさらにステロイド薬(プレドニン60mg)を併用した。プレドニン開始後速やかに自覚症状、肝機能ともに改善し、3-4日毎に漸減を行い9月5日には投与を中止した。ラミブジンは、投与開始6カ月目にHBsAgの消失、HBsAbの出現を確認した後に中止した。わが国のB型急性肝炎患者のHBVgenotype分布の中で、本来わが国には存在しないgenotypeAの感染者が関東地域を中心に増加していることが最近明らかとなり問題となっている。HBVgenotype AによるB型急性肝炎は、欧米の成績では成人初感染でも約10%が慢性化し、一般的に肝機能障害が遷延化することが報告されている。今回HBVgenotypeAに感染したB型急性肝炎患者の遷延化する肝機能障害および黄疸の増強に対してラミブジンとステロイド薬の併用治療を行い良好な経過を示した症例を経験したので文献的考察も加え報告する。
索引用語 B型急性肝炎, genotypeA