セッション情報 一般演題

タイトル 329:

総胆管結石手術の7年後に、残存総胆管結石と胆管癌が発生した、膵管胆管合流異常症の一例

演者 佐々木 雅人(熊本労災病院 消化器内科)
共同演者 岩下 博文(熊本労災病院 消化器内科), 山之内 健伯(熊本労災病院 消化器内科), 合志 和人(熊本労災病院 消化器内科), 島尻 正平(熊本労災病院 消化器内科), 伊藤 清隆(熊本労災病院 消化器内科)
抄録 【症例】61才、男性 【主訴】心窩部痛 【既往歴】平成7年、総胆管結石にて緊急手術(総胆管切除および胆嚢摘出、胆管空腸吻合)【現病歴】平成7年の手術後は全く検査を受けず。1~2ヶ月前から時々心窩部痛と食欲低下があったが、平成14年6月3日、心窩部と背部の激痛が出現し、救急外来を受診し入院となった。【入院時現症】身長162.5cm、体重66kg、血圧145/85mmHg、体温36.8℃、眼球黄染なし、腹部には心窩部圧痛あるも反跳痛なし、四肢異常なし【入院時検査】WBC 12600 RBC 461万 Hb 14.0 Ht 42.0% Plt 28.4万 TBil 0.38 GOT22 GPT 17 LDH 226 ALP 212 LAP 49 rGTP 20 CPK 216 sAmy 71 Tcho 155 TG 71 BUN 16.7 Cr 0.86 Na 142 K 4.0 Cl 108 Ca 9.1 CRP 0.3 CEA 3.2 PT 112% HBsAg (-) HCV Ab (-)【経過】入院時の腹部超音波検査とCTスキャンで残存総胆管内に巨大結石がみられたため、緊急ERCPを施行。著明に拡張した残存総胆管内に結石が認められたため、ERBD tubeを留置。また胆管と膵管は同時造影となり膵管胆管合流異常症が疑われた。引き続き残存総胆管切除術を施行した。結石の成分は全てタンパクであった。今回切除された残存胆管粘膜には、高度の炎症を伴うびまん型の高分化型腺癌(sm1,ly0,v0)が見受けられた。これはCEAとTOPO ll免疫染色に陽性であった。しかしながら、平成7年に切除された総胆管と胆嚢には病理学的に癌細胞はみられなかった。【考察】この症例は膵管胆管合流異常を背景に、7年前の総胆管切除時に残存した胆管に腺癌が発生したものと考えられた。同様の症例は英文報告では過去13例存在した。以上より、膵管胆管合流異常のある総胆管結石症例では術後も厳重なフォローアップが必要であると考えられた。
索引用語 膵管胆管合流異常症, 胆管癌