セッション情報 一般演題

タイトル 158:

大腸内視鏡検査が誘因となった虚血性大腸炎の1例

演者 仲村 将泉(沖縄赤十字病院 内科)
共同演者 井濱 康(沖縄赤十字病院 内科), 仲地 紀茂(沖縄赤十字病院 内科), 小波津 寛(沖縄赤十字病院 内科), 金城 福則(琉球大学 医学部 光学診療部DELIMITER琉球大学 医学部 第1内科), 斎藤 厚(琉球大学 医学部 第1内科)
抄録  大腸内視鏡検査の普及に伴い内視鏡による診断と治療は進歩を遂げた.しかし,一方で検査数の増加に伴い偶発症も増加している.主な偶発症は出血,穿孔である.我々は大腸内視鏡検査が誘因になったと思われる虚血性大腸炎の1例を経験したので報告する. 【症例】患者:54歳,女性.【主訴】腹痛,血便.【既往歴】40歳時:子宮筋腫にて子宮全摘術.47歳時:内視鏡的大腸ポリープ切除術.【現病歴】平成14年6月24日当院の人間ドック受診.大腸内視鏡検査を受けた.内視鏡挿入に要した時間は12分で,脾彎曲を越える際にステッキ形成し,臍部を用手圧迫し挿入した.検査中は脾彎曲を越える際に軽度の腹痛を認めたが,検査後は腹痛を認めなかった.検査所見も異常なく帰宅した.翌日も腹痛は無く,排便,排ガスも認めていた.6月26日早朝より,左腹部全体の腹痛と,血便を認めて当科受診.腹部超音波,腹部CTにて横行結腸から下行結腸にかけて大腸の壁肥厚を認めて,虚血性大腸炎を疑われ,入院となった.大腸内視鏡検査にて下行結腸に発赤を認め,虚血性腸炎に特異的なシダの葉状の発赤を認めた. 注腸造影にて下行結腸及び横行結腸にthumb printing所見を認め,虚血性腸炎と診断した.【考察】大腸内視鏡検査が誘発になった虚血性大腸炎の報告は少ない.原因として前処置が誘因になった症例と内視鏡操作によるものと分けられる.本症例は検査時には異常を認めず,検査2日後に血便を認め,大腸内視鏡にて虚血性大腸炎と診断した.大腸内視鏡検査が誘因になったと考えられ,大腸内視鏡検査における重要な合併症であると考えられた.
索引用語 大腸内視鏡検査, 偶発症