セッション情報 シンポジウム14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

機能性消化管障害の病態と治療

タイトル 消S14-13:

H.pylori感染による、胃上皮TRPV4イオンチャネルのメチル化が、胃機能異常の原因になり得る

演者 三原 弘(富山大大学院・3内科学DELIMITER生理学研究所岡崎統合バイオサイエンスセンター・細胞生理研究部門)
共同演者 鈴木 庸弘(富山大大学院・3内科学), 杉山 敏郎(富山大大学院・3内科学)
抄録 背景・目的:機能性ディスペプシアの病態には適応性弛緩が関与している。TRPV4イオンチャネルは、温度、機械刺激などによって活性化される非選択的陽イオンチャネルで、食道、結腸上皮などに発現しているが、胃上皮での発現及び機能は未検討である。また、TRPV4の遺伝子プロモータ-領域には、CpG islandが存在し、DNAメチル化により発現制御を受けている可能性がある。最近H.pylori感染が、胃粘膜において、特定の遺伝子にDNAメチル化異常を誘発することが明らかとされてきた。そこで、今回はTRPV4のDNAメチル化異常による発現抑制を検討し、H.pylori感染によるTRPV4イオンチャネルの発現が抑制が機能性ディスペシアの病態に関与しているかどうかを検証した。材料・方法:1)TRPV4発現解析 マウス胃、ヒト胃生検標本(当大学倫理委員会承認)・RT-PCR、Real time PCR、免疫組織化学法。2)TRPV4機能解析 マウス胃・Ca2+-イメージング、電気生理学的解析。3)TRPV4 DNAメチル化解析 細胞株、ヒト胃生検標本・メチル化特異的PCR、脱メチル化解析。4)in vivo解析 野生型、TRPV4欠損マウス・胃排泄能測定。結果:1)マウス胃、ヒト胃生検標本から、TRPV4の mRNA、タンパク質が検出された。2)マウス胃上皮細胞において、TRPV4活性化剤によって、細胞内Ca2+濃度上昇及び内向き電流が観察された。3)TRPV4にメチル化を受けている細胞株は、TRPV4のmRNAの発現、機能は抑制され、脱メチル化により、発現、機能が回復した。H.pylori感染者は、メチル化頻度が高く、除菌後は低値となった。4)TRPV4欠損マウスの胃排泄能は低下していた。結論:胃上皮に発現しているTRPV4は、H. pyloriによるメチル化により、発現が減少し、胃排泄能などの機能的異常に関与している可能性がある。
索引用語 TRPV4, メチル化