セッション情報 |
パネルディスカッション5(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)
肝拠点病院網と肝診療均てん化の現状課題
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タイトル |
肝PD5-13:ウイルス肝炎ネットワークの構築と診療均てん化への取り組み
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演者 |
井上 泰輔(山梨大・1内科) |
共同演者 |
坂本 穣(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科) |
抄録 |
【目的】近年のC型肝炎に対するIFN治療において、専門医レベルではウイルス側、宿主側の遺伝子情報を基に効果を予測する事や、発癌リスクを考慮した治療時期の検討を行う事が望ましいとされている。しかし多くの検査が保険適用外であり一般病院では行いづらい。そこで診療ネットワークの強化により一般病院通院例でも保険外検査を含み診療可能とし、また最新の情報を患者やかかりつけ医、コメディカルスタッフや行政関係者と共有することを目的とした。【方法・成績】1).’04年12月より山梨県内84施設、126名の医師で構成する診療ネットワーク(Yamanashi-PEG-IFNα2b+Ribavirin Study; Y-PERS)を組織し、診療連携とアウトカム解析を続けている。当初よりHCV GenotypeとISDR変異を、その後コア領域変異を検討項目に加えていた。’10年10月よりIRRDR変異と宿主側のIL28Bの測定、ファイブロスキャンによる肝硬度を検討項目として追加した。保険外検査を実施可能とする為、ネットワーク参加かかりつけ医から1度山梨大学の専門外来を紹介受診し、大学で各種検査を行い結果を紹介医へ報告している。検査結果を統合した治療適応や時期の判断、実際の治療はかかりつけ医で行い、治療例のDataは後日匿名化されY-PERS事務局へ送られアウトカム解析に用いられる。2).専門医の持つ情報を共有し連携するため、患者向けに市民講座や患者会との連携、一般医のために学術講演会やネットワークを生かした診療連携、看護師等の医療従事者と医療費助成等に関わる行政関係者向けには肝疾患コーディネーター養成講習会を行っている。【結語】ウイルス肝炎診療ネットワークの構築と情報の共有により、最新の知識と検査法を基にした診療が大学病院通院患者のみでなく全県の肝炎患者へ提供可能となる。また専門的なアウトカム解析の対象数も増え、多数例で現行の治療の検証や新たな効果予測、適応の判断等に繋げていけると考えられる。 |
索引用語 |
医療連携, 診療均てん化 |