セッション情報 一般演題

タイトル 59:

動注療法にて軽快したのち硬膜外膿瘍をきたした重症急性膵炎

演者 ハイ 成寛(九州厚生年金病院 外科)
共同演者 西中 秀和(九州厚生年金病院 外科), 三浦 亘智(九州厚生年金病院 放射線科), 西方 不二彦(九州厚生年金病院 外科)
抄録 【はじめに】重症急性膵炎に対し膵酵素阻害剤・抗生物質持続動注療法を行い膵炎が改善した後,脊髄硬膜外膿瘍を合併した一例を経験したので報告する.【症例】56歳の男性.飲酒後上腹部痛が出現し来院した.上腹部の圧痛および筋性防御が認められた.血清アミラーゼ値が187 IU/lと軽度上昇,腹部CTにて膵体~尾部の腫大が認められ,アルコールによる軽症急性膵炎の診断にて入院となった.メシル酸ガベキサート,ウリナスタチンの静注投与を行っていたが,発症から2日目には上腹部痛は増悪し,血清Ca 7.3 mg/dl,LDH 700 IU/l,総蛋白5.8 g/dlと血液検査値も増悪し,腹部CTにて膵全体の腫大と左側後腎傍腔まで炎症の波及が認められ(Grade V),重症急性膵炎(重症度スコア4点,Stage 2,重症 I)へと移行した.上腸間膜動脈と腹腔動脈にカテーテルを留置し,メシル酸ナファモスタット 240 mg/dayおよびイミペナム 1 g/dayの持続動注療法を5日間行った.その後,症状および血液検査値は速やかに改善し,重症度スコアも動注開始5日目には0点になり,膵炎は軽快した.膵炎発症から29日目に突然39℃の発熱,頭痛および頚部痛が出現した.頚椎MRIにて頚椎4~5椎間板レベルの硬膜外膿瘍と診断され,膿瘍ドレナージおよび頚椎前方固定術を施行した.術後経過は良好で膵炎発症後89日目に退院となった.【結語】本症回避のためには動注療法後の抗生物質の投与の必要性が示唆された.
索引用語 重症急性膵炎, 硬膜外膿瘍