セッション情報 一般演題

タイトル 46:

広範なリンパ節転移を認めた表層拡大型早期胃癌の1例

演者 荒木 利卓(済生会熊本病院消化器病センター)
共同演者 上原 正義(済生会熊本病院消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院消化器病センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院病理), 一口  修(済生会熊本病院外科), 川上 孝男(おおかど胃腸科クリニック), 田上 洋一(おおかど胃腸科クリニック), 大門 秀光(おおかど胃腸科クリニック)
抄録 症例は44歳、女性。平成14年5月14日検診の胃X線検査において胃角部小彎の不整を指摘されたため、7月3日おおかど胃腸科クリニックを受診した。上部消化管内視鏡検査にて胃角部から前庭部の小彎から前壁に拡がる広範囲なIIc病変を認め、生検でGroupV(signet-ring cell carcinoma)と診断された。精査加療目的で7月29日に当院消化器病センターへ入院となった。当科にて術前に行った上部消化管内視鏡検査にて胃角小彎の隆起が目立つことからsm浸潤が疑われた。そこで、8月6日に開腹胃幽門側切除術(B-I法再建 D2郭清)、および胆嚢摘出術が施行された。切除標本上病変部の大きさは9.2×7.0cmで、肉眼形態は扁平な隆起と陥凹からなるIIa+IIcの表層拡大型であった。病理組織の結果、病変部の粘膜筋板は概して保たれており、隆起部分は腫瘍細胞の粘膜内増殖により構成されていた。しかし、一部粘膜筋板内にリンパ管を認め、癌がリンパ管内に浸潤している像が認められた。また、無数のリンパ管の拡張と癌細胞のリンパ管侵襲を認めた。深達度はsm層粘膜筋板から500μm以内にリンパ管侵襲を認めたためsm1であったが、検索したリンパ節21個中13個に転移を認め、その範囲もNo.1,3,4d,5,6,7,9と広範であった。術後補助化学療法を行い8月24日退院となった。今回われわれは癌の浸潤範囲はそのほとんどが粘膜内であったにもかかわらず、広範なリンパ節転移を認めた表層拡大型未分化癌を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 表層拡大型早期胃癌, リンパ節転移