セッション情報 一般演題

タイトル 224:

放射線及びGemcitabine併用療法が奏功した局所進行膵頭部癌の一例

演者 井上 直子(九州大学病態制御内科(第三内科))
共同演者 伊藤 鉄英(九州大学病態制御内科(第三内科)), 有田 好之(九州大学病態制御内科(第三内科)), 河辺 顕(九州大学病態制御内科(第三内科)), 原田 直彦(九州大学病態制御内科(第三内科)), 明石 哲郎(九州大学病態制御内科(第三内科)), 大野 隆真(九州大学病態制御内科(第三内科)), 小島 瑞穂(九州大学病態制御内科(第三内科)), 宜保 淳也(九州大学病態制御内科(第三内科)), 田中 宗浩(九州大学病態制御内科(第三内科)), 佐々木 達(九州大学病態制御内科(第三内科)), 名和田 新(九州大学病態制御内科(第三内科))
抄録  症例は72歳女性。57歳時より境界型糖尿病の診断にて近医通院中であったが、平成13年5月頃より急激にHbA1cが10.9 %に上昇し、背部痛、体重減少も自覚。血糖コントロール目的のため7月に近医入院しインスリン治療を開始したが、腹部超音波検査で膵頭部腫瘤と主膵管の拡張を認め、膵癌疑いにて8月2日当院紹介入院となった。入院時検査では、T-Bil 0.8 mg/dl、AST 15 U/l、ALT 15 U/l、膵型amylase 14 U/lは正常、HbA1c 11.3%、 FBS 214 mg/dlと高血糖を認めた。腫瘍マーカーはCA19-9が214.6 U/mlと上昇、CEAは1.3 ng/mlであった。腹部CT検査で膵頭部に境界不明瞭な¢4.2×3.6 cmの腫瘤性病変があり、大血管浸潤を認めた。また、ERCP検査で膵頭部の主膵管途絶を認め膵癌と診断した。遠隔転移を認めなかったため、Gemcitabine投与(40 mg/m2×週2回×6週間)と対外照射(総線量 50.4 Gy)の併用療法を施行、その後Gemcitabine単独投与(1000 mg/m2×月3回)を2クール施行した。CA19-9 50.9 U/ml、腹部CT検査でSDと判断し、外来でGemcitabine投与を継続していたが、平成14年1月頃より心窩部鈍痛自覚し、胃内視鏡検査にて急性胃粘膜病変認め、Hb 6.7 g/dlと低下しており2月1日入院。絶食、PPI静脈投与、輸血およびアルゴンプラズマ凝固により加療し軽快。その後、Gemcitabine単独投与(1000 mg/m2×月3回)を2クール施行、胃病変の悪化は認めず退院した。現在ではCA19-9正常化、さらに腫瘍サイズは縮小しPRとなり、外来で治療を継続している。
 Gemcitabine少量投与と体外照射の併用療法は、局所進行膵癌治療の選択肢の一つとなりうる可能性があり、若干の考察を加えて報告する。
索引用語 膵癌, Gemcitabine