セッション情報 一般演題

タイトル 23:

自己免疫性好中球減少症を合併した胃癌患者に対する外科治療経験

演者 首藤 真理子(大分医科大学 腫瘍病態制御講座(外科学第2))
共同演者 野口 剛(大分医科大学 腫瘍病態制御講座(外科学第2)), 和田 伸介(大分医科大学 腫瘍病態制御講座(外科学第2)), 工藤 哲治(大分医科大学 腫瘍病態制御講座(外科学第2)), 武野 慎祐(大分医科大学 腫瘍病態制御講座(外科学第2)), 内田 雄三(大分医科大学 腫瘍病態制御講座(外科学第2)), 大塚 英一(大分医科大学 感染分子病態制御講座(内科学第2)), 那須 勝(大分医科大学 感染分子病態制御講座(内科学第2))
抄録 【緒言】自己免疫性好中球減少症は好中球が1500/μl以下に減少し,それが抗好中球自己抗体による崩壊亢進に起因する疾患である。自己免疫性好中球減少症を基礎疾患として持つ患者に胃癌を発症し手術にて切除し得た症例を経験したので報告する。【症例】58歳,男性。1998年より自己免疫性好中球減少症にて大分医科大学第2内科にて加療を受けていた。2002年2月に貧血を指摘され,鉄剤内服等の治療を受けるも改善なく,6月に上部消化管内視鏡検査を実施,胃癌と診断され,7月に手術目的にて当科入院となった。術前GCS-F皮下注を行うも反応不良であり,感染を併発したが,GCS-F皮下注の増量,抗生剤併用にて軽快し,幽門側胃切除術,第一群+αリンパ節郭清,Billroth I法再建を行った。術中所見では脾腫が著明であった。病理標本では幽門部大弯側後壁に0-IIc型腫瘍を認めた。術後病理結果はpoorly differentiated adenocarcinoma,PM(-),DM(-),por2,int,infβ,SM2,ly1,v0で,リンパ節転移は認めなかった。術後もGCS-F皮下注,抗生剤投与を行い,術後経過は良好で,術後16日目に自宅へ退院した。【結語】特発性好中球減少症に対してGCS-Fにより一過性であるが好中球増加効果が期待でき,これらはいずれも感染症併発時や手術施行時の治療として有用であると報告されている。本邦では自験例を含め,特発性好中球減少症にGCS-Fを併用し手術を行った症例が3例報告されており,いずれも良好な結果を辿っている。自己免疫性好中球減少症に胃癌を合併し,GCS-F,抗生剤の併用下に手術を行い良好な経過をたどった一例を経験したので,本邦で報告されている特発性好中球減少症に対し外科的治療を行った2症例を含めて若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 自己免疫性好中球減少症, GCS-F