セッション情報 一般演題

タイトル 11:

PPI変更により瘢痕化したH. pylori除菌不成功の胃潰瘍の1例 -CYP2C19遺伝子多型の検討も含めて-

演者 大谷 哲史(大分医科大学 第二内科)
共同演者 阿南 重郎(大分医科大学 第二内科), 宮島 一(大分医科大学 第二内科), 沖本 忠義(大分医科大学 第二内科), 佐藤 竜吾(大分医科大学 第二内科), 村上 和成(大分医科大学 第二内科), 那須 勝(大分医科大学 第二内科), 香川 二朗(大分医科大学 附属病院 総合診療部), 兒玉 雅明(大分医科大学 附属病院 総合診療部), 藤岡 利生(大分医科大学 附属病院 総合診療部)
抄録  プロトンポンプ阻害剤 (PPI) は、肝臓のcytochromeP450で代謝を受けるが、主な代謝酵素の1つであるCYP2C19には遺伝的多型性があり、その型によりPPIの代謝速度が異なり、またPPIの種類によって影響の程度が異なると言われている。今回我々は、lansoprazole (LPZ) 内服中に巨大潰瘍の再発をきたし、PPIをrabeprazole (RPZ) に変更後に瘢痕化を持続している症例を経験したので、文献的考察を加え報告する。 症例は、55歳男性。主訴は心窩部痛。昭和48年に初めて胃潰瘍と診断され、以後数回再発の既往があり、平成8年にH. pyloriの除菌療法を受けたが不成功であった。平成10年5月に体下部小弯前壁にIIcを発見され、当院第一外科にて腹腔鏡下胃楔状切除術を受けた。平成11年2月より当院総合診療部の外来フォローとなり、さらに3回の除菌治療を行ったが、除菌不成功であった。平成11年6月よりfamotidine 40mg/日、平成13年7月よりlansoprazole 15mg/日の内服を継続していたが、同年9月21日頃より心窩部痛を自覚し、9月26日にGF施行、胃体部に巨大なA1stageの活動性潰瘍を認め、同日当科に入院した。保存的治療を行い、10/1のGFで潰瘍の縮小傾向を認めたため退院した。入院中より、PPIをLPZからRPZに変更したが、平成14年1月以降、潰瘍は瘢痕化を持続している。本症例におけるCYP2C19のphenotypeはhomozygous extensive metabolizer (homoEM)であり、PPIの変更が奏功した可能性が示唆された。
索引用語 胃潰瘍, CYP2C19