セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-003:

当科における肝細胞癌の治療方針(経皮的エタノール注入療法と経皮的ラジオ波焼灼術の再発率について)

演者 岩田 郁(福岡大学 医学部 第3内科)
共同演者 西澤 新也(福岡大学 医学部 第3内科), 中根 英敏(福岡大学 医学部 第3内科), 吉兼 誠(福岡大学 医学部 第3内科), 上田 秀一(福岡大学 医学部 第3内科), 阿南 章(福岡大学 医学部 第3内科), 入江 真(福岡大学 医学部 第3内科), 鈴木 統久(福岡大学 医学部 第3内科), 早田 哲郎(福岡大学 医学部 第3内科), 渡邊 洋(福岡大学 医学部 第3内科), 向坂 彰太郎(福岡大学 医学部 第3内科)
抄録 肝細胞癌の内科的治療は、主に肝動脈塞栓術と経皮的エタノール注入療法(PEI)が以前より行われているが、近年新しい経皮的治療としてラジオ波焼灼術(PRFA)が盛んに行われるようになった。当院も2000年よりラジオ波治療を行っている。当院でのラジオ波焼灼術の適応は基本的に腫瘍径が3cm以内で腫瘍数は3個以内としており、適応症例の一部がPEIと一致するためエタノール注入療法の件数は激減した。今後もラジオ波治療が増えていくと考えられるが、再発率や予後については本邦では提示されたものが少なく施設間差もある。今回、PEIとPRFAの再発率を検討した。【方法】1996年1月から2002年8月までに当科に入院した肝予備能がChild-Pughスコアの9点以内の初回治療の肝細胞癌患者484例のうち、腫瘍径が3cm以内で腫瘍数は3個以内のPEI単独療法を行った94例と、PRFA単独療法を行った68例についての再発率を解析した。再発については全体の再発と局所再発および施行者の治療経験年数(経皮的治療経験が5年未満vs以上)による再発率を検討した。【成績】1)肝癌の2年再発率はPEIが54%、PRFAが38%であった(p<0.05)。2)2年局所再発率はPEIが22%、PRFAが8%であった(p<0.01)。3)経験年数によるPEIでの2年再発率は経験年数5年以上が38%、経験年数5年未満が59%であったが(p<0.05)、PRFAでは有意差はみられなかった。【結論】今回の結果は、エタノール注入療法に比較してラジオ波治療のほうが局所再発が少なく、治療経験年数による再発率にも差を認めないもことより、ラジオ波治療は今後、肝癌治療の主要たる選択肢の1つとなると考えられた。
索引用語 肝癌経皮的治療, ラジオ波焼灼術