セッション情報 一般演題

タイトル 302:

急性発症し、薬物性肝障害および自己免疫性肝炎との鑑別を要した原発性胆汁性肝硬変(mixed type)の1例

演者 志賀 洋(福岡大学 医学部 第三内科)
共同演者 中根 英敏(福岡大学 医学部 第三内科), 西澤 新也(福岡大学 医学部 第三内科), 早田 哲郎(福岡大学 医学部 第三内科), 鈴木 統久(福岡大学 医学部 第三内科), 入江 真(福岡大学 医学部 第三内科), 岩田 郁(福岡大学 医学部 第三内科), 渡邊 洋(福岡大学 医学部 第三内科), 向坂 彰太郎(福岡大学 医学部 第三内科)
抄録 症例は54才の女性。検診で初めて肝障害を指摘され近医を受診したが、その後急速に増悪したため当科を紹介された。約1ヶ月前に1週間のダイエット食品使用歴がある。入院時の血液検査では、総ビリルビン 0.6 mg/dl、AST 501 IU/l、ALT 835 IU/l、LDH 802 IU/l、ALP 876 IU/l、γ-GTP 389 IU/l、総コレステロール 155 mg/dl、IgG 1360 mg/dl、IgA 245 mg/dl、IgM 307 mg/dlであった。薬物性肝障害も疑われたが、ANA 640倍、AMA 160倍、M2 79 Uであったため、原発性胆汁性肝硬変(PBC)を疑い肝生検を施行したところ、小葉間胆管の破壊と著明な形質細胞の浸潤に加え、piecemeal necrosisと小葉内の炎症所見も多く観察された。ロゼット形成は認めなかった。また、薬物のリンパ球様幼若化試験は陰性であった。このためPBCのmixed typeと診断した。ウルソデオキシコール酸600 mg/dayを開始したが改善傾向がみられないため、その後べザフィブラート400 mg/dayを併用したところ肝障害は著明に改善した。通常、PBCは緩徐に発症することが多く、急性発症した肝障害の場合、PBC以外の肝疾患を念頭におく必要がある。しかし本症例は薬物性肝障害やウイルス性肝炎を示唆する所見は得られなかった。PBCのmixed typeの中には、薬物性肝障害や自己免疫性肝炎類似の肝機能異常を呈し、比較的急性の経過をたどる症例がある事を考慮する必要があると考えられた。
索引用語 原発性胆汁性肝硬変, 急性発症