セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 37:深達度診断に苦慮した1cm大の表面隆起型sm 深部浸潤癌の一例 |
演者 | 楠 真一郎(熊本大学 医学部 放射線科) |
共同演者 | 緒方 一朗(熊本大学 医学部 放射線科), 伊牟田 真功(熊本大学 医学部 放射線科), 土亀 直俊(熊本大学 医学部 放射線科), 山下 康行(熊本大学 医学部 放射線科), 田平 洋一(熊本大学 医学部 第一外科), 緒方 義也(緒方放射線科医院) |
抄録 | 【症例】症例は72歳男性、20年程前より胃部の不快感を主訴に1~2年に一回、上部消化管内視鏡検査を受けていた。平成14年7月の内視鏡検査で胃体上部前壁に1cm大の褪色した表面隆起型病変を指摘された。生検では高分化型管状腺癌であった。胃X線検査では病変は境界の不明瞭な僅かな粘膜の不整像としてのみ描出された。超音波内視鏡検査では粘膜固有層から粘膜下層に局所的に突出する低エコー像が認められsm浸潤を疑う所見が得られた。しかし非常に小さな表面隆起型の高分化癌であったため肉眼所見を重視し、この所見は生検の影響など二次的な変化によるものの可能性が高いと判断し、癌そのものは粘膜内にとどまっていると考え内視鏡的粘膜切除術を施行した。病理組織上、超音波内視鏡検査で見られた粘膜下層に突出した部位はすべて腫瘍細胞で占められており、深達度はsm2-3であった。切除断端に腫瘍細胞は見られなかったが、深部の切除端と腫瘍との距離は75μmmしかなかった。リンパ節を含め外科的切除を追加した。外科的切除の結果は局所に腫瘍細胞の残存は認めず、 リンパ節も転移は認められなかった。【結論】非常に小さな表面隆起型の高分化型癌が粘膜下層へ浸潤することは稀であり、また肉眼形態からもsm深部浸潤を予期することができなかった。超音波内視鏡検査のみsm深部浸潤を疑う所見が得られたが、このように検査間で所見が異なる場合どの所見を信頼すべきかは今後も問題となるであろう。若干の文献的考察を含め報告する。 |
索引用語 | 早期胃癌, 深達度診断 |