セッション情報 一般演題

タイトル 235:

内視鏡的止血術の5年後に再出血を認めた十二指腸憩室出血の1例

演者 松坂 浩史(麻生飯塚病院 消化器内科)
共同演者 赤星 和也(麻生飯塚病院 消化器内科), 隅田 頼信(麻生飯塚病院 消化器内科), 吉永 繁高(麻生飯塚病院 消化器内科), 久保川 賢(麻生飯塚病院 消化器内科), 藤丸 竜哉(麻生飯塚病院 消化器内科), 副島 昭(麻生飯塚病院 消化器内科), 秋穂 裕唯(麻生飯塚病院 消化器内科), 近藤 淳(麻生飯塚病院 消化器内科), 近藤 信夫(麻生飯塚病院 消化器内科), 本迫 郷宏(麻生飯塚病院 消化器内科), 原田 直彦(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学)
抄録 十二指腸憩室は無症状で経過することが多く,出血を伴うことは稀であるとされている.十二指腸憩室出血に対しては各種内視鏡的止血術が行われ,その有効性が報告されている.しかしその長期的アウトカムは未だ明らかにされていない.今回我々は内視鏡的止血術の5年後に再出血を起こし,再度内視鏡的止血術を施行し,止血可能であった1例を報告する.症例は66歳,女性.1997年12月持続するタール便,貧血で当科を受診し,十二指腸下行脚乳頭部肛門側の径2cmの憩室内の小びらんからの湧出性出血に対し,内視鏡下クリップ止血術を施行し,止血状態を得た. 2001年5月タール便を認め近医で止血剤投与などの加療を受け自然軽快した. 2002年7月9日夜タール便が出現し,気分不良を認めたため当院救命救急センターを受診した.来院時血圧164/84mmHg,脈拍88/分,Hb 9.6g/dLであり精査加療目的で入院となった.7月10日朝大量吐血を認め,収縮期血圧が50mmHgまで低下,出血性ショックとなった.輸液,輸血を行い,ショック状態を離脱後に施行した緊急内視鏡検査では胃~十二指腸水平脚内に新鮮血の貯留を認め,洗浄を繰り返し観察を行った.十二指腸下行脚の既知の傍乳頭憩室内に径2mm程の中心に露出血管と思われる発赤点を伴った円形のびらんを認め,出血源と考え計3個のクリッピングを施行した.食道から観察し得た十二指腸水平脚までにはその他に出血源となり得る病変を認めなかった.7月11日より食事を開始したが吐下血,Hbの低下を認めず,7月16日内視鏡下に止血状態である事を確認した.貧血の改善を待ち退院となり,その後現在まで再出血を認めていない.また1997年,今回の十二指腸憩室からの出血前にNSAIDsの内服を行っており誘因になった可能性も考えられた.3回目の出血であり待期的外科手術を考慮したが本人,家族の希望で今後も経過観察を行う予定である.十二指腸憩室出血の内視鏡的止血術後晩期再出血に関する報告は少なく,若干の考察を加え報告する.
索引用語 十二指腸憩室, 出血