セッション情報 パネルディスカッション6(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

非切除胆道癌の治療のコンセンサス

タイトル 消PD6-2:

切除不能胆道癌に対する全身化学療法の治療成績と予後因子の解析

演者 越田 真介(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科)
共同演者 藤田 直孝(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科)
抄録 【目的】Gemcitabine(GEM)またはS-1を用いた全身化学療法を施行した切除不能胆道癌症例をretrospectiveに検証し、その有効性と予後因子を解析する。【対象】1次治療としてGEMまたはS-1を1クール以上施行した切除不能胆道癌(主要動脈浸潤や遠隔転移を伴うstage IVa-b症例) 52例を対象とした(IVa/IVb:13/39, GEM/S-1:28/24)。またGEM認可前の化学療法非施行(BSC)群15例(IVa/IVb:8/7)を予後の検討のhistorical controlとして用いた。【方法】1腫瘍縮小効果、2生存期間、3予後因子につき検討した。【結果】1:画像評価判定可能な34例(GEM/S-1:16/18)の腫瘍縮小効果は奏功率15%、病勢制御率は79%で、原発部位や薬剤の種類によって治療への反応に差がみられた(奏功率:肝外胆管癌GEM群14%/S-1群0%、胆嚢癌GEM群20%/S-1群14%、肝内胆管癌GEM群0%/S-1群29%)。2:対象(n=52)はBSC群(n=15)に比して有意に生存期間の延長がみられ(p=0.0096)、median OSはそれぞれ8.5ヵ月、4.4ヵ月であった。原発部位別のmedian OSは、肝外胆管癌(n=16)が13.9ヵ月(GEM群15.9 vs S-1群10.7:p=0.03)、胆嚢癌(n=21)が6.4ヵ月(GEM群5.5 vs S-1群6.4:p=0.61)、そして肝内胆管癌(n=15)が8.5ヵ月(GEM群8.5 vs S-1群23.9:p=0.15)であり、予後についても原発部位や薬剤の種類によって差がみられた。3:化学療法群(n=52)の予後因子の検討については、年齢、性、1次治療の種類、2次治療の有無、原発部位、病期、PS、腹水、肝転移、CA19-9、CEA、LDH、Alb、CRPの14項目を候補とした。単変量解析でp<0.2であった6項目(2次治療の有無、原発部位、PS、腹水、LDH、CRP)を多変量解析し、原発部位:胆嚢(OR 2.0, 95%CI 1.1-4.0, p=0.036)、PS:2以上(OR 7.2, 95%CI 1.8-29.0, p=0.005)が有意な予後因子として抽出された。【結語】GEMおよびS-1導入によりstage IVa-b切除不能胆道癌の予後は延長され、奏効率や予後延長効果について薬剤や原発部位による違いを認めた。化学療法施行例に関し、胆嚢癌症例やPS不良例は予後不良因子と考えられた。
索引用語 胆道癌, 化学療法