セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 292:劇症化した自己免疫性肝炎の一例 |
演者 | 坂井 良成(熊本大学 医学部 第三内科) |
共同演者 | 牟田 龍史(熊本大学 医学部 第三内科), 永濱 裕康(熊本大学 医学部 第三内科), 田中 基彦(熊本大学 医学部 第三内科), 藤山 重俊(熊本大学 医学部 第三内科), 冨田 公夫(熊本大学 医学部 第三内科) |
抄録 | 症例;48歳、女性。職業;看護助手。生活歴;輸血歴、飲酒歴、常用薬なし。既往歴;特記事項なし。現病歴;平成14年7月13日全身倦怠感と38℃の発熱を認め、15日近医を受診。腎盂炎と診断され内服治療受けたが、17日の血液検査で高度の肝機能異常指摘され、18日同院入院となった。23日前医に転院のうえ治療継続されたもののtransaminaseの高値が続きBilの上昇と、PTの低下(38%)を認めたため重症肝炎と診断され、精査治療のため8月5日当科転院となった。入院後経過;転院時、意識レベルは低下して、肝性脳症III度となり、PTも24%とさらに低下していたため、劇症肝炎亜急性型と診断した。HAV、HBV、HCV、CMV、HSV、EBVの関与は否定的であり、AIHスコア15点と自己免疫性肝炎疑診例であった。ステロイドパルス療法、血漿交換、血液濾過透析を含めた集中治療を行なった。治療効果良好で15日にはICU退室し、その後意識は清明で、PTも新鮮凍結血漿の補充中止で50%以上を維持可能となった。しかしながら黄疸の遷延や腹水・胸水を認め肝機能の回復が得られない状況が持続した。10月3日貧血・タール便を認め、上部消化管内視鏡検査施行し、胃角部に活動期の潰瘍が認められPPI投与で治療を行った。その後脳症出現、肺水腫併発し呼吸状態悪化したため8日ICUに再入室となった。再度胃潰瘍からの出血を認めたが、全身状態不良のため内視鏡治療で止血困難で消化管出血、肝不全の改善は認められず12日永眠された。なお肝移植は家族の希望なく断念した。結語;劇症化する自己免疫性肝炎は比較的まれであるが一旦劇症化すれば生存率は低い。若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 劇症肝炎, 自己免疫性肝炎 |