セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 10:術後残胃胃炎とHelicobacter pyloriについて |
演者 | 阿部 寿徳(有田胃腸病院) |
共同演者 | 佐藤 俊三(有田胃腸病院), 二宮 繁生(有田胃腸病院), 石川 浩一(有田胃腸病院), 板東 登志雄(有田胃腸病院), 有田 毅(有田胃腸病院), 佐藤 竜吾(大分医科大学 第2内科), 村上 和成(大分医科大学 第2内科), 那須 勝(大分医科大学 第2内科), 兒玉 雅明(大分医科大学 総合診療部), 藤岡 利生(大分医科大学 総合診療部) |
抄録 | 胃切除術後に発生する残胃胃炎は、腹痛・嘔気・嘔吐・食欲不振・体重減少などの症状を伴い、時には日常生活に支障を来す。しかし残胃内の環境は多因子の影響を受けやすく、残胃胃炎の病態にはいまだ不明な点が多い。胃切除の対象は、Helicobacter pylori感染の関与が指摘される胃癌や消化性潰瘍がほとんどであり、残胃胃炎においてもH.p.感染についての検討は重要と考えられる。よって今回我々は、術後内視鏡的残胃胃炎の出現と病理組織学的炎症所見、さらにH.p.との関連性について検討した。対象は、幽門側胃部分切除術を施行後1年以上経過し、当院にて上部内視鏡検査を行った117例。再建術式の内訳は、Billroth-I法70例、Billroth-II法25例、Jejunal-Interpositionが21例。まず方法1として、3つの再建術式別に、H.p.感染の有無、内視鏡的逆流性胃炎の程度、術後経過年数について各々比較検討した。その結果、H.p.感染率は、胆汁逆流の多いB-I、B-II法に低く、逆に胆汁逆流の少ない J-I 法では高率だった。術後経過年数によるH.p.感染率には差がみられなかった。内視鏡的胃炎はJ-I法では少なく、B-I、B-II法に多くみられ、その程度も強かった。内視鏡的胃炎の程度が低いほどH.p.感染率は高く、逆に内視鏡的胃炎の程度が高いほど低感染率だった。次に方法2として、生検病理組織においてSydney systemに準じて組織学的胃炎の程度を4段階に評価・スコア化し、内視鏡的胃炎の程度と比較検討。さらにその中から組織学的に毛細血管拡張の程度も同様に比較検討した。その結果では、内視鏡的胃炎の程度は組織学的胃炎と有意に反比例の関係が認められ、内視鏡的胃炎は毛細血管拡張の程度と比例関係の傾向がみられた。【まとめ】内視鏡的胃炎は、胆汁逆流の化学的刺激による毛細血管拡張を反映している事が示唆された。逆に組織学的胃炎は、胆汁逆流の少ない環境におけるH.p.感染がその原因であると思われた。 |
索引用語 | 残胃胃炎, Helicobacter pylori |