セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
211:超音波内視鏡にて嚢胞成分が描出された膵solid pseudopapillary tumor (SPT)の1例
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演者 |
江副 康正(済生会熊本病院 消化器病センター) |
共同演者 |
今村 治男(済生会熊本病院 消化器病センター), 廣田 和彦(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院 消化器病センター), 荒井 光広(同外科センター), 神尾 多喜浩(同病理), 大門 秀光(おおかど胃腸科クリニック) |
抄録 |
術前診断が困難であったsolid pseudopapillary tumor (SPT) の一例を経験したので報告する。症例は41歳、女性。平成12年12月、腹痛にておおかど胃腸科クリニックを受診し、腹部USにて脾門部に2cm大の腫瘤を認めたが副脾などの良性腫瘤と考えられ経過観察されていた。平成14年6月、経過観察目的のUSにおいて、同腫瘤は膵尾部と連続しており膵腫瘍が疑われたため精査加療目的で当院紹介入院となった。入院時の身体所見、血液生化学検査は腫瘍マーカーも含め異常を認めなかった。腹部USにて、膵尾部先端に22×18mm大の境界明瞭な類円形腫瘤を認めた。辺縁には小石灰化と思われる高エコーを伴っており、内部はほぼ均一で膵や脾とiso echoicであった。ドプラー検査では内部に血流は認めなかった。Dynamic CT, MRIでは、腫瘤は徐々に造影効果を示したが質的診断は困難であった。超音波内視鏡(EUS) では、腫瘤内部にcysticな部分と石灰化を認めた。血管造影検査では明らかなtumor stainは認めなかった。以上の検査所見より、膵のSPTや内分泌腫瘍、脾腫瘍、軟部組織腫瘍などを鑑別に挙げて腹腔鏡下に膵尾部および脾臓摘出術を施行した。腫瘍は大きさ28×20×20mmで弾性硬、脾臓と脾動静脈の間にはまり込むように存在していた。割面には肉眼的に充実性腫瘍の内部にcystic spaceが確認できた。病理学的には、異型に乏しい均一な核と好酸性顆粒状の胞体を有する腫瘍細胞がシート状に増殖しており、大小のcystおよび偽乳頭様構造の形成がみられ、一部では石灰沈着やコレステリン沈着を認めた。免疫染色では、クロモグラニンA、インスリン、ソマトスタチンはいずれも陰性で、NSEおよびα-アンチキモトリプシンが陽性であり、総合して膵SPTと診断した。画像診断上、EUS所見が病理学的特徴を最もよく反映していた。文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 |
solid pseudopapillary tumor, 超音波内視鏡 (EUS) |