セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 167:プロピオン酸ベクロメタゾン注腸が奏効した潰瘍性大腸炎の一例 |
演者 | 坂井 良成(熊本大学 医学部 第三内科) |
共同演者 | 牟田 龍史(熊本大学 医学部 第三内科), 桜井 宏一(熊本大学 医学部 第三内科), 上村 克哉(熊本大学 医学部 第三内科), 伊藤 清治(熊本大学 医学部 第三内科), 藤山 重俊(熊本大学 医学部 第三内科), 冨田 公夫(熊本大学 医学部 第三内科) |
抄録 | 症例;39歳、男性。現病歴;約5年前から度々下痢・下血がみられるも、放置していた。平成14年4月より下痢・下血出現、その後下痢の回数が増え(1日10回以上)、下血も増強したため5月2日当科受診。下部内視鏡検査で直腸から回盲部まで連続する全周性のびらん・潰瘍を認め、潰瘍性大腸炎の診断のもと同日入院となった。入院時身体所見;身長177cm、体重68kg。体温38.0℃、血圧128/78mmHg、脈拍88/min。眼瞼結膜に貧血あり。眼球結膜黄染なし。腹部は平坦、軟。自発痛・圧痛なし。腸音やや亢進。入院時検査所見;血沈108mm/1hr、WBC 10200/μl、RBC 384万/μl 、Hgb 9.1g/dl、Ht 29.9%、Plt 47.8万/μl、Alb 3.4g/dl、Fe 6μg/dl、UIBC 236μg/dl、CRP 14.79mg/dl。入院後経過;IVHによる腸管安静・アルブミンの補充・ペンタサ錠2.25gの内服・抗生剤の投与による治療を開始した。1週間後も発熱・血便持続し、5月13日の内視鏡検査でも改善が乏しかったため、5月14日からPSL40mgと免疫抑制剤・アザチオプリン100mgの内服を開始した。2週後CRPは低下したが、依然一日7~8回の血便・37℃後半の発熱・血沈80mm/1hr・Hb8~9g/dlの貧血があり、重症度の改善を認めなかったため、6月4日よりプロピオン酸ベクロメタゾンの注腸療法を開始した。方法はプロパデルムクリーム5g(1.25mg)を生食100mlで溶解したものを1日1回夕方注腸し、その後体位変換してもらった。その後、便は5回前後に減少し、発熱も消失し、6月17日にはCRP陰性化、6月24日には血沈48mmと改善した。6月19日より30mg、7月2日より20mgに減量し、7月9日より流動食を開始した。7月23日の内視鏡検査では直腸にのみ浅い潰瘍を認めたものの、その口側にはほとんど炎症所見がなく固形便なったため、PSL15mg・普通食開始とし、7月29日退院となった。結語;潰瘍性大腸炎に対する注腸としてはリン酸ベタメタゾンナトリウムが主流であるが、今回プロピオン酸ベクロメタゾン注腸が奏効した一例を経験した。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, プロピオン酸ベクロメタゾン注腸 |