セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 9:H. pylori感染診断における尿中H. pylori抗体の有用性の検討 |
演者 | 仲地 紀哉(那覇市立病院) |
共同演者 | 宮城 剛(琉球大学医学部第一内科), 仲本 学(琉球大学光学医療診療部), 宮里 史郎(琉球大学光学医療診療部), 金城 渚(琉球大学光学医療診療部), 金城 福則(琉球大学光学医療診療部), 斎藤 厚(琉球大学医学部第一内科), 島尻 博人(那覇市立病院), 大湾 朝二(那覇市立病院), 宮平 守博(那覇市立病院) |
抄録 | 目的:Helicobacter pylori (Hp)の感染診断に関して、様々な方法が開発され用いられている。尿中抗体検出キットは迅速かつ簡便な方法の一つとして利用可能である。しかしながら、抗体法はその時点の感染の状態を反映しない可能性もあり、その利用方法に注意が必要と思われる。今回、我々は日常のHp関連疾患の診療に携わる際に尿中抗体検出キットがどのように有用であるかを検討した。方法:尿中Hp抗体検出キットを用いてHpの感染診断を行った。検体の採取は基本的にはHp除菌前、除菌3、6、12ヶ月後、その後は1年毎に行った。感染診断を比較する方法として培養法を用いた。経過を追って調べることの出来た症例32例について検討した。結果:培養法と比較したときの尿中Hp抗体検出キットの感度、特異度、診断率はそれぞれ95.5% (21/22)、50.0% (16/32)、68.5% (37/54)であった。陽性的中率、陰性的中率はぞれぞれ56.8% (21/37)、94.1% (16/17)であった。除菌前に限定すると陽性的中率は94.1% (16/17)と良好であった。培養陰性の一例は迅速ウレアーゼ試験では陽性であったため、実質的には100%の陽性的中率であった。尿中Hp抗体の陰転化の時期については3ヶ月~12ヶ月(平均5.92ヶ月)とばらつきが認められた。中には、除菌は成功しているものと思われるものの2年以上経過しても陰転化していない症例が見られた。まとめ:尿中Hp抗体の陰転化の時期は早くとも3ヶ月以内と比較的良好な症例も見受けられたが、平均半年近くもかかり、2年以上も偽陽性と判定されている症例もあり、除菌判定には有用でないと思われた。感度は高く、偽陰性もほとんどなく抗体検出の信頼性は高いものと思われた。しかしながら、検出法の性質上特異度が極端に低く、診断率は低くなった。陰性的中率は高く、非感染診断には非常に有用と思われた。除菌前に限って言えば、陽性的中率も高く、非除菌歴が明確であれば感染診断として充分に有用と思われた。 |
索引用語 | H.pylori, 尿中H.pylori抗体 |