| セッション情報 |
一般演題
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| タイトル |
297:肝細胞癌手術11年後にHBs抗原消失し, 20年後に胆管細胞癌を発症した慢性B型肝炎の一例
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| 演者 |
神宮 則彦(九州大学 大学院 病態修復内科学) |
| 共同演者 |
河野 吉浩(九州大学 大学院 病態修復内科学), 河野 聡(九州大学 大学院 病態修復内科学), 林田 一洋(九州大学 大学院 病態修復内科学), 前田 貴司(九州大学 大学院 消化器総合外科学), 調 憲(九州大学 大学院 消化器総合外科学), 島田 光生(九州大学 大学院 消化器総合外科学) |
| 抄録 |
症例は52歳,男性.28歳時よりB型慢性肝炎にてフォロー中,1982年(32歳)AFPが3,690 ng/mlと上昇し肝S8に肝細胞癌を認め,亜区域切除術を施行された.その後, 1992年にトランスアミナーゼは正常化し,1993年にはHBs抗原が陰性化したが,年2回腹部エコーにて経過観察を続けていた.2002年5月,肝S5に径2cmの腫瘍を認め入院となった.血液生化学,凝固系は正常であり,AFP,PIVKA-2,CEA,CA19-9も正常範囲であった.腹部CTではS5の腫瘍は,周辺はわずかにhigh-low patternを呈し,内部は遅延性に濃染された.腹部血管造影検査でも淡い2cm大の腫瘍を認め, CTAPで低吸収,CTAで軽度の増強を認めた.画像診断より典型的な肝細胞癌よりも,間質成分に富んだ肝細胞癌,混合型肝癌,胆管細胞癌などが考えられたため, S5の亜区域切除術と肝門部周囲のリンパ節廓清術が施行された.肉眼的に腫瘍は白色で硬く,線維性の被膜は認めなかった.病理組織は胆管細胞癌であった.慢性B型肝炎の自然経過でのHBs抗原陰性化率は0.1~2%/年とまれである.したがってHBs抗原が陰性化し肝炎が消失した状態での肝癌発症例はわずかしか報告されていない. B型肝炎はC型肝炎と違い肝炎が消失した非硬変肝や正常肝から発癌が生じ発見が遅れてしまうことが多い.本例はHBs抗原が陰性化して肝炎も消失した状態でも腹部エコー検査を年2回以上施行し続けた結果,HBs抗原陰性化後9年目に肝癌をstage 1で検出でき手術が施行できた貴重な例と考え報告する. |
| 索引用語 |
肝癌, B型肝炎 |