セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 294:Lamivudine投与により肝機能が改善し、肝細胞癌、食道静脈瘤の治療が可能となったB型肝硬変の一例 |
演者 | 佐々木 望(医療法人清和会 長田病院) |
共同演者 | 吉岡 慎一郎(医療法人清和会 長田病院), 森田 恭代(医療法人清和会 長田病院), 立石 行生(医療法人清和会 長田病院), 長田 英輔(医療法人清和会 長田病院), 松垣 諭(久留米大学 第二内科), 山崎 三樹(久留米大学 第二内科), 於保 和彦(久留米大学 第二内科), 上野 隆登(久留米大学 先端癌治療研究センターDELIMITER久留米大学 第二内科), 佐田 通夫(久留米大学 第二内科) |
抄録 | 症例は63歳男性。平成元年ドックにて初めて肝機能障害を指摘された。平成11年6月肝S4に径40mmの肝細胞癌(HCC)を認め、8月肝内側区域、前区域切除施行される。更に平成12年7月、平成13年1月肝S6のHCCに対しTAEを施行された。その後肝S3のHCCが径35mmに増大するも、PT42%、Alb1.7g/dL、T.BIL3.6mg/dL、T.cho116mg/dL、ChE22U/L、AST105U/L、ALT80U/Lと肝機能が悪化し著明な腹水貯留を来たしたため治療困難となった。平成13年6月全身状態、肝機能改善目的で入院。HBeAg(-)、HBeAb(+)であったがHBVDNAは7.6LGE/mLと高値を示したため、患者と家族の了解を得て6月27日よりLamivudine100mg/dayの内服を開始した。7月HBVDNA4.5LGE/mL、8月HBVDNA3.7LGE/mL以下とウイルス量は減少。9月にはPT55%、Alb2.3g/dL、T.BIL1.3mg/dL、T.cho187mg/dL、ChE40U/L、AST51U/L、ALT27U/Lと肝機能は改善傾向を呈し、腹水も減少した。全身状態良好となったことで同年9月食道静脈瘤(LmCbF2RC2+)に対しEVL施行可能となった。また肝S6のHCCは増大しVP2となったが、肝S3のHCCと共にTAEを施行することが出来た。更に11月Reservoir留置し動注化学療法を開始した。12月には再発食道静脈瘤に対し追加治療を行った。平成14年9月現在PT72%、Alb3.1g/dL、T.BIL1.0mg/dL、T.cho136mg/dL、ChE70U/L、AST23U/L、ALT13U/Lと肝機能は安定しており、HBVDNA2.6Logcopy/mL未満を保っている。HCCについても平成14年1月にはVP3であったが、9月現在VPは消失し、AFPも200000ng/dLから24.6ng/dLへと低下した。肝不全状態のB型肝硬変症例に対してLamivudineの投与により肝機能の改善が得られ、随伴するHCC、静脈瘤の治療が行えることで予後の改善が期待できると考えられた。 |
索引用語 | Lamivudine, B型肝硬変 |