抄録 |
胃癌術後のSchnitzler 転移に対してTS-1が奏功した一例症例は、現47歳の男性で1995年5月より上腹部痛を自覚していた。症状改善ないため、近医受診。上部消化管内視鏡を施行したところ胃角部~胃前庭部にかけてtype3病変を認め、生検にてpoorly differentiated adenocarcinoma, with signet ring cells の診断であった。精査加療目的にて当院当科紹介され、1996年4 月入院となった。1996年5月8日、幽門側胃切除術を施行。なお、術前腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。術後経過良好にて同年5月31日退院。病理にてpoorly differentiated adenocarcinoma. se, sci, infγ, ly1, v1, ow(-), aw(-), n(-)であった。その後外来にてフォローアップしていたが1996年11月術後イレウスにて入院。保存的治療にて軽快。2002年8月下旬より排便困難をみとめるようになり、2001年9月13日大腸内視鏡検査にて直腸Rb部の狭窄を認めた。大腸透視像より、胃癌術後のSchnitzler 転移と診断。2001年9月14日よりTS-1 100mg/dayを開始した。2001年9月17日より術後イレウスにて入院となったが、保存的治療にて改善し退院となった。その後外来にてTS-1 100mg/dayを継続しフォローアップしていたが、以後イレウスの再発は認めなかった。2002.4.12注腸造影施行したところ、前回認めていた直腸Rb部の狭窄は改善していた。現在もTS-1の投与を続け、無再発生存中である。 胃癌術後のSchnitzler 転移に対してTS-1が奏功した一例を経験したので当院におけるTS-1の使用状況を含め、若干の文献的考察加えて報告する。 |