セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 168:白血球除去療法とメサラジン注腸療法にて緩解導入できた潰瘍性大腸炎の一例 |
演者 | 佐々木 文郷(宮崎医科大学 第2内科) |
共同演者 | 沼田 政嗣(宮崎医科大学 第2内科), 山本 章二朗(宮崎医科大学 第2内科), 田原 良博(宮崎医科大学 第2内科), 宮田 義史(宮崎医科大学 第2内科), 岩満 章浩(宮崎医科大学 第2内科), 岩切 久芳(宮崎医科大学 第2内科), 中西 千尋(宮崎医科大学 第2内科), 宮路 紫織(宮崎医科大学 第2内科), 加藤 順也(宮崎医科大学 第2内科), 堀 剛(宮崎医科大学 第2内科), 林 克裕(宮崎医科大学 第2内科), 坪内 博仁(宮崎医科大学 第2内科) |
抄録 | 今回我々は、白血球除去療法とメサラジン注腸療法の組み合わせにより緩解導入できたUCの一例を経験したので若干の考察を加えて報告する。症例は、41歳女性。25歳頃より、時折血液を混じた泥状~水様下痢便があったが、精査加療は受けていなかった。2001年8月健診にて貧血および便潜血陽性を指摘され、同年11月近医で施行された大腸内視鏡検査(以下CS)にてUC、全大腸炎型と診断された。外来にてメサラジン2g/dayが開始されたが、症状の改善が乏しく、2002年2月近医入院となり、ベタメタゾン注腸が開始され、メサラジンをサラゾピリン4g/dayに変更された。便回数は減少したが、便性状は改善せず、3月26日よりベタメタゾン注腸は中止、プレドニゾロン(以下PSL)20mg/dayが開始となり退院。しかし5月のCSでは改善を認めず、PSLが30mg/dayへ増量されたが、粘血便が持続するため、6月28日当科へ入院。入院時CSでは、虫垂開口部周囲に血管透見性不良と発赤を認め、下行結腸遠位部に軽度発赤、S状結腸、直腸は発赤浮腫が強く、小びらんが密集し、易出血性、粘膿性分泌物を認め、内視鏡重症度分類は中等度であった。臨床的重症度は軽症であったが、ステロイドが4ヶ月以上投与されているにもかかわらず、内視鏡所見の改善が乏しく、患者が更なるステロイド増量に抵抗感を示したことから、白血球除去療法(LCAP)を1回/週で計5回施行。LCAP開始3回目終了後より便に付着する血液が減少、LCAP5回終了後のCSでは、下行結腸からS状結腸の血管透見性、発赤、浮腫、びらん、易出血性は改善していた。しかし、直腸には粘液性分泌物、軽度びらんを認め、血管透見性は依然として消失していた。血便は消失したが、便の粘液付着が持続するため、LCAP終了後よりメサラジン注腸(ペンタサ1g+微温湯100mlを1日1回注腸)を開始した。メサラジン注腸開始5日目には、便に付着する粘液が減少し、開始約2ヶ月後のCS所見は、直腸の発赤、びらんの改善と粘液性分泌物の減少を認め、ほぼ緩解状態となった。LCAP終了後も残存する直腸活動性病変に対してメサラジン注腸療法が有効である可能性が示唆された。 |
索引用語 | 白血球除去療法, メサラジン注腸療法 |