セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
191:EMR症例の治療成績からみた食道表在癌の治療方針
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演者 |
橋本 剛(大分医科大学 医学部 腫瘍病態制御講座(外科第2)) |
共同演者 |
野口 剛(大分医科大学 医学部 腫瘍病態制御講座(外科第2)), 和田 伸介(大分医科大学 医学部 腫瘍病態制御講座(外科第2)), 武野 慎祐(大分医科大学 医学部 腫瘍病態制御講座(外科第2)), 工藤 哲治(大分医科大学 医学部 腫瘍病態制御講座(外科第2)), 森山 初男(大分医科大学 医学部 腫瘍病態制御講座(外科第2)), 徳石 恵太(大分医科大学 医学部 腫瘍病態制御講座(外科第2)), 重岡 美玲(大分医科大学 医学部 腫瘍病態制御講座(外科第2)), 松永 宗倫(大分医科大学 医学部 腫瘍病態制御講座(外科第2)), 内田 雄三(大分医科大学 医学部 腫瘍病態制御講座(外科第2)) |
抄録 |
当科における食道表在癌の治療方針は,(1) m1, 2:EMR,(2) m3, sm1:EMRを行った後,脈管侵襲(+)症例は化学放射線療法などの追加治療を行い,脈管侵襲(-)症例は厳重な経過観察,(3) sm2, 3:進行癌に準じた治療,としている.今回,食道癌EMR症例の治療成績から,食道表在癌の治療方針の妥当性を検討した.当科で施行した食道癌EMR 症例は45例で, m1,2:24例,m3, sm1:19例,sm2:2例であり,観察期間は2~109ヶ月,平均37.7ヶ月であった.遺残再発は2例(4.4%)に認められ,それぞれ EMR後1ヶ月,3ヶ月で再発が確認された.エタノール局注と再EMRを行い,再発なく生存中である(平均観察期間89.5ヶ月).異時性の多発癌は4例(8.9%)に認められ,第2癌発見までの期間は12ヶ月,26ヶ月,33ヶ月,71ヶ月であった.第2癌はすべて深達度m1,2であり,全例EMRを行い無再発生存中である(平均観察期間57.8ヶ月).m3, sm1症例のうち,化学放射線療法を追加した4例の予後は,他病死の1例を除き全例,無再発生存中であった(平均観察期間29.4ヶ月).手術を行った4例では,他病死の1例を除き全例,無再発生存中であった(平均観察期間28.5ヶ月).経過観察となった11例では(平均観察期間35.5ヶ月),9例が無再発生存中であったが,2例に再発を認めた.再発を認めた2例は,いずれも脈管侵襲を認めた症例であり,諸事情にて定期的経過観察が不可能で,後治療を追加し得なかった症例であった.2例とも再発確認後,化学放射線療法を行ったが,1例は局所再発と縦隔リンパ節転移のコントロールがつかず,現在治療中である.sm2の2例のうち1例は手術を行い,無再発生存中であるが,後治療を拒否された1例は,4ヶ月後に原病死された.対象症例45例の予後は,他癌死2例(中咽頭癌1例,肺癌1例),他病死6例で,原病死は手術拒否されたsm2の1例のみであった.以上の結果より当科における食道表在癌の治療方針は妥当であると考える. |
索引用語 |
食道表在癌, EMR |