セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 269:粘膜下腫瘍様の形態を呈した大腸印環細胞癌の1例 |
演者 | 浅野 光一(済生会熊本病院) |
共同演者 | 郷田 憲一(済生会熊本病院), 上野 直嗣(済生会熊本病院), 多田 修治(済生会熊本病院), 林 尚子(済生会熊本病院外科), 志垣 信行(済生会熊本病院外科), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院病理), 水足 秀一郎(山鹿中央病院), 須古 博信(済生会熊本病院) |
抄録 | 症例:76歳男性。既往歴、家族歴:特記事項なし。現病歴:平成14年6月、検診のS状結腸内視鏡検査で発赤粘膜を指摘され、近医で全大腸内視鏡検査を施行された。盲腸に粘膜下腫瘍様の立ち上がりを有し、中心部に深い潰瘍を伴う隆起性病変を認め、S状結腸には発赤した不整粘膜を認めた。生検では両者ともgroup 1であったが、malignancyが疑われたため、7月3日、当科紹介入院となった。入院後再度内視鏡検査を行ったがS状結腸の可動性が不良であり挿入不能であった。注腸造影検査では盲腸に粘膜下腫瘍様の立ち上がりを有し、中心に深い潰瘍を伴う隆起性病変を認めた。腹部エコー検査では内部は比較的均一なhypoechoic massであり、腹部造影CTでは、遅延相で造影されるlow density な腫瘤として描出された。臨床的にmalignant GISTもしくは大腸癌が疑われたため手術を行った。術中腹膜播種を認めたが、回盲部切除術を施行した。切除標本では盲腸全体をしめる4×3 cmの潰瘍形成性腫瘍を認め、病理標本では粘液産生細胞を一部に混在する印環細胞癌であった。深達度si、n1、h0、m0、p3であった。虫垂の同定はできなかったが腫瘍が盲腸全体を占めていることから盲腸原発と考えられた。現在術後化学療法を施行中である。大腸印環細胞癌は全大腸癌の1 %以下との報告が多く頻度は少ない。また、発見時ほとんどが進行癌であり、肉眼型では分化型大腸癌に比べて3型もしくは4型が多い。本症例は肉眼的に明らかな上皮性の変化はとらえられず、術前の組織検査では癌細胞が得られなかった。盲腸という特異な部位に発生しているためか粘膜下腫瘍様の隆起の中心部に深い潰瘍を形成した形態を呈していたためmalignant GISTとの鑑別が困難であった。肉眼形態、組織学的にまれな症例と考えられたため文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 大腸印環細胞癌, 粘膜下腫瘍様形態 |