セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 109:タイ産ダイエットハーブ茶が原因と考えられた急性肝炎の一例 |
演者 | 佐々木 文郷(宮崎医科大学付属病院 第2内科) |
共同演者 | 岩切 久芳(宮崎医科大学付属病院 第2内科), 岩満 章浩(宮崎医科大学付属病院 第2内科), 沼田 政嗣(宮崎医科大学付属病院 第2内科), 加藤 順也(宮崎医科大学付属病院 第2内科), 堀 剛(宮崎医科大学付属病院 第2内科), 林 克裕(宮崎医科大学付属病院 第2内科), 坪内 博仁(宮崎医科大学付属病院 第2内科) |
抄録 | 近年、ダイエット用健康食品による薬剤性肝障害の報告が相次いでいるが、今回我々はタイ産ダイエットハーブ茶が原因と考えられた急性肝炎の一例を経験したので報告する。症例は27歳、女性。2002年4月便秘症の為、タイ産ダイエット茶を2度服用。7月初旬、再びダイエット茶を2度服用した。7月5日頃より全身倦怠感、食欲不振が出現。近医を受診し、感冒薬(PL顆粒)、胃腸薬(ガスター、セルベックス)を内服した。症状改善せず、また全身の黄染を自覚したため、7月12日地域の中核病院を受診。T.Bil 9.2mg/dl、D.Bil 7.1mg/dl、AST 1114 IU/L、ALT 2270 IU/L、LDH 748 IU/Lであり、急性肝炎と診断され即日入院。安静・輸液・低脂肪食にて経過観察されていたが、7月17日にはT.Bil 16.2mg/dl、D.Bil 12.5mg/dlと黄疸が悪化。原因不明であり、劇症肝炎への移行が危惧された為、7月18日に当科へ転院。身体所見では、著明な黄疸を認めるものの、肝性脳症を示唆する所見はなかった。血液検査は、T.Bil 17.8mg/dl、D.Bil 12.4mg/dl、AST 1541 IU/L、ALT 1910 IU/L、LDH 524 IU/L、PT 58%、HGF 1.67ng/mlであった。原因検索では、肝炎ウイルスマーカーは、A型、B型、C型、E型については陰性、サイトメガロウイルス、EBV、HSVについては、既感染パターンであった。自己免疫関連検査は、γ-グロブリン・IgG・IgM正常、抗核抗体(1+)陽性、抗平滑筋抗体・抗LKM-1抗体陰性であった。8月20日肝生検を施行し、組織学的に門脈域と小葉内への炎症細胞浸潤、胆栓、架橋壊死、巣状壊死を認めたが、急性肝炎の原因を示唆する特異的所見はなく、International autoimmune hepatitis groupのscoring systemは3点と自己免疫性肝炎も否定的であった。薬剤リンパ球刺激試験では、タイ産ハーブ茶、ガスター、セルベックス、PL顆粒ともすべて陰性であった。急性肝炎の原因については確定に至らなかったが、自覚症状出現前に服用歴のあるタイ産ハーブ茶が原因である可能性がある高いと考えられた。安静で肝機能障害は改善し、8月19日には、T.Bil 4.0mg/dl、D.Bil 3.0mg/dl、AST 27IU/L、ALT 28 IU/L、LDH 137 IU/L、PT 100%となり、8月23日に退院となった。現在、本薬剤について行政機関に成分分析も含め報告中である。 |
索引用語 | 薬剤性肝障害, ダイエット茶 |