セッション情報 一般演題

タイトル 247:

内視鏡的粘膜切除を行った早期十二指腸癌の一例

演者 村上 右児(福岡大学 筑紫病院 消化器科)
共同演者 頼岡 誠(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 菊池 陽介(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 光安 智子(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 和田 陽子(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 櫻井 俊弘(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 松井  敏幸(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 八尾 恒良(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 岩下 明徳(福岡大学 筑紫病院 病理部)
抄録 症例は69歳、男性。2001年3月健診目的にて当科受診。2002年1月上部消化管内視鏡を施行したところ十二指腸の球後部に最大径7mmの比較的立ち上がりの急峻な、緊満感のある半球状の隆起を発見。同病変は中心部に類円形のdelleを有し表面は同色調の正常粘膜に覆われており基本的には粘膜下腫瘍と思われた。生検の結果Atypical appearing glandと診断された。このため精査加療目的にて同年6月当院1回目入院。入院時胸腹部に異常所見なく、血液検査にも異常なかった。腫瘍マーカーはCEA 2.5ng/mlと正常範囲であった。低緊張性十二指腸造影では球部大弯の上十二指腸角近傍に径約8mmの隆起性病変を認め表面はほぼ平滑で、中央に陥凹を認めた。以上の内視鏡および組織所見より悪性を疑った。超音波内視鏡検査では内部は比較的高エコーで、一部低エコー部が混在していたが、固有筋層との距離は保たれていた。十分なインフォームドコンセントを行った上で、内視鏡的粘膜切除術を選択した。内視鏡先端に透明キャップを装着し病変を吸引し一括切除しえた。切除標本は発赤調の6×6mmの中央に浅い陥凹を有するなだらかな隆起性病変(Is型)であった。病理組織学所見はBrunner腺由来の高分化型腺癌で、粘膜と粘膜下組織表層に位置していた。深達度m、ly 0、v 0、INF alphaであった。切除断端は水平、垂直ともに陰性であった。術後合併症無く、退院後当科外来にて経過観察を行っているが2002年8月現在まで遺残再発は認めていない。今回我々は早期十二指腸癌を内視鏡的に切除し得た一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて発表する。
索引用語 早期十二指腸癌, EMR