セッション情報 一般演題

タイトル 198:

膵脂肪性腫瘤の1例

演者 吉澤 直之(福岡大学筑紫病院 消化器科)
共同演者 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院 消化器科), 大谷 圭介(福岡大学筑紫病院 消化器科), 田中 正彦(福岡大学筑紫病院 消化器科), 坂口 正剛(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科), 八尾 恒良(福岡大学筑紫病院 消化器科), 高木 靖寛(福岡大学筑紫病院 病理), 原岡 誠司(福岡大学筑紫病院 病理), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院 病理), 尾石 弥生(済生会二日市病院 胃腸科)
抄録 [はじめに]膵における脂肪浸潤は間質にびまん性に見られることが多く,年齢や体重増加とともに強くなり,実質内にも及ぶようになるが,一般に限局性腫瘤を形成することはまれである.今回我々は,膵鉤部の限局性脂肪性腫瘤の1例を経験したので,画像所見を中心に報告する.[症例]71歳女性.H11年膵嚢胞の既往あり.H14年7月22日下腹部痛が出現したため近医受診.USにて膵鉤部に腫瘤を指摘され,8月9日当科紹介入院となった.血清アミラーゼは正常で,エラスターゼ1が710 ng/dlと上昇していたが,他の腫瘍マーカーは正常であった.US上膵鉤部に径17×16mmの低エコー腫瘤を認めたが,主膵管の拡張はなかった.Dynamic CTでは,腫瘤は境界明瞭で,上腸間膜静脈に接していたが,全く造影されなかった.MRIのT1強調像でhigh intensity,T2強調像でiso intensityで皮下脂肪と同程度のintensityであった.また膵体部に3mmの嚢胞を認めた.ERP上膵管に異常はなかった. EUSでは膵鉤部に低エコー腫瘤を認め,腫瘍内を膵管が貫通していた.血管造影ではtumor stainやencasementはなく,門脈系に異常はなかった.画像上は脂肪組織に富んだ腫瘍を疑った.確定診断のため経皮的膵生検を施行した.病理組織学的に脂肪組織のみで,悪性所見はなかった.以上より脂肪組織由来の良性腫瘤(脂肪腫あるいは限局性脂肪浸潤)と診断し,経過観察とした.2ヶ月経過したが,腫瘍は増大していない.
索引用語 膵, 脂肪性腫瘤